コポコポのちモワモワでホワホワ、そしてホンワカ
「よく来たね、ヨクイさん、テロリン。雪道で大変だったろう?」
「僕は全然平気だよ!」
「まぁ、オレはペンギンだしな。」
ヨクイさんとテロリンの返答に、フッフッと笑いながら、ゆったりと立ち上がる影。
「お客さんが来たことだし、お茶にするかな。……もちろん、チーズクッキーも出すよ。」
分厚い手袋をはめながら、そう言って笑いかけられ、ヨクイさんもニッコリ。澄ましている様で、テロリンもどこか、笑っているみたい。
「ガフ、ありがとう。だけど、急いで話したいことが……」
「まあ、まあ、ヨクイさん。」
急ぐヨクイさんを、ガフは制します。そして、鉄びんのフタを持ち上げながら、一言、
「大事な話のようだからこそ、お茶でも飲んで、ジックリと、ね。」
「……ウン!」
ガフの提案に、ヨクイさん、納得。
「だけど、本当にあまり時間が無いんだ。少し急いでくれ。」
「時間が無い、か……。なら、尚更、ジックリ話さないと、テロリン。」
ティーカップとポットを用意しながら、テロリンをチラ、と見たガフの顔は、笑っています。
「急いては事を仕損じる、よ。時間が限られているならこそ、事を始める前に、よく考えておかないと……ね。」
コポ、コポコポ……ポットへとお湯が注がれ、モワ、モワァ……と湯気が立ち昇ります。すると、すぐ後から、ホワァッ……イイ香りが追いかける様にやって来て、小屋を包んでいきます。
「……だな。」
テロリンも納得です。ガフの言う通り、ここは、これからどうするのか、皆でよおく考える必要があります。
「……ところで、また出たね。」
ヨクイさん、横目でチラリ。
「何が?」
「テロリンの、『だな』。」
「……やかましい。」
「アハハ……。」
白銀の森の小屋の中、ホンワカ暖かい笑い声が、ジンワリ広がります。二人のやり取りに、ガフもフフフ……と笑みをこぼし……
「オッ、と……。」
思わず、ポットからは、お湯をこぼしてしまうのでした。