イヴの日に視る夢
ヨクイさん、みんな、遅くなったけど……
書いてみたよ‼
ほんのり灰空に雪もチラつく町はどこかせわしなく。明日はいよいよクリスマス。そう、今日はクリスマス・イヴ。通りを行く皆の心は、明日の自分たちよりも先に踊りだしているみたい。それはヨクイさんも同じで……。
「えーと、いつものチーズと生クリームと、それに牛乳と、えーと……。」
「バターだね。ヨクイさん。」
「そう!」
今日はヨクイさんも大忙し。明日のクリスマス用に、いつもより、大きくて、デコレーションもされた、特別なチーズケーキを作るから。それを集まった皆で食べるのです。最初はクリスマスのプレゼントとして、少しずつ送っていたのが、ヨクイさんの家に集まるようになり、いつの間にか、毎年の恒例行事へと。ヨクイさんにとって、皆の笑顔が見れる、幸せな日なのです。
「うーん、と……。イチゴもいいし、キイチゴもいいし……。ブルーベリーもいいなぁ……。」
「つまり……全部、かな?」
「……だね!」
「フフッ、よくばりさんだね。」
と、果物屋さんでも、
「うーん、と……。皆来るから……。ビスケット、いっぱいください!」
「ヨクイさん、いっぱい、て、どの位なの?」
「えーと……。とにかく、いっぱいは、いっぱい!」
「えぇ~?!それ、困ったなぁ。」
お菓子屋さんでも、思わず、笑い合ってしまう、そんな楽しい買い物の時間は、あっという間に過ぎて。
「フー……。いっぱい買っちゃった。」
袋に包まれた、たくさんの荷物がヨクイさんの背中でユラユラ踊ります。ふと、窓に映った自分の姿に目をやるヨクイさん。
「あれれれ……。なんだか、まるで……。」
窓の奥、ツリーに飾ってある赤い帽子が、窓ガラスの向こうのヨクイさんの頭に乗っかると……
「サンタクロースみたい!」
窓枠の向こう側、ガラスの中の世界でのサプライズに、思わず、気分も高まります。
「やったね!今夜は僕がサンタさん!」
荷物の重さもなんのその、薄っすら雪が積もる帰路を、ヨクイさん、ウキウキしながら行くのでした。
「ウーン。ムニャムニャ……。」
明日の支度を終えて、ベッドへ入ったヨクイさん。何か夢を見ているようで……。
「ホッホッホゥッ。ワリィゴハイネガァ?あ、違った。みんな、いい子にしてたかな?ヨクイサンタが行くよぉ!」
シャンシャンシャンシャンシャン……綺麗な鈴の音を響かせ。オシャレしたトナカイたちに牽かせたソリに乗って。真ん丸な、大きな月を横切り、サンタ服を着たヨクイさんが星空を行きます。
「ホッホゥッ!メリークリスマス!」
「ムニャムニャ……ヨシヨシ、イイ子にしてたね。じゃあ、プレゼントを……メリークリスマス……むにゃムニャ……。」
素敵な夢の中で、すっかりサンタクロースに成りきっているようです。
前書きにあるとおり、頭に浮かんでから実際に書くまでに時間がかかりすぎ、投稿するのに遅くなってしまいました。
しかも、内容は季節外れもいいところのクリスマス。冬の童話にはいつも間に合わず……。
昨年も間に合わなかったので、また先延ばしでもいいかなと一時思いました。
が……
……この時世だからこそ、こうゆう作品を出してみたいという思いが強くなり、数年を経て、投稿するに至りましたw
実は、まだ原文(自筆原稿)が書き挙がっていない、つまり、完結していないので、連載の形をとることにしました。
連載は一つも完結していない私ですが、これを機に、作品を完結させられるように成るため、努めてまいりたい所存です。