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反乱者達  作者: ザギルレン
2/2

まさかの出会い

ーーーー


  9年後


ーーーー


誰かの怒鳴る声が耳元で響き渡り、世界がぼんやりと色付く。


「レン殿!逃げてください!」


焦点がくっきりと合うと、俊敏に首を動かして辺りを見渡した。


人が踏み付けて出来た道に、草木が生茂、道の先にはウォーリアン・ヘーテの城壁が、薄らと見えていた。


「レン殿!早く!早くお逃げ下さい!」


ムーディアはレンに怒鳴り付けるが、体が動かなかった。


レンはムーディアと目線を合わせると、カルディとラミィが剣を構え、切り掛かってきた。


ムーディアはレンを背負いながら、間一髪のとこで後ろに下がり、二人の一撃を避け切った。


「グヌゥ、仕方がない」


絞り出したムーディアの声を聞くと、意識が飛び、辺りは真っ暗になった。


冷たい液体が頭の中にポチャリと落ちる。


レンは思わず目を開け、早口でつめたっと言った。


「また……あの夢かぁ」


大粒の雨が強く、雨除けがされている荷馬車に打ち付ける夜。ランタンがほんのりと周囲を照らす。


タルや木箱に身を隠すように座り、ボロボロのフードに、杖を手放さないレンの姿がそこにいた。


「ふぅぅぅ、寒いぃ」


レンは体をぶるっっと震わせると、何も気にせず深い眠りにつこうとした。


瞼を閉じると、馬車の車輪が立てる音に、打ち付ける雨の音が催眠を遮る。


(寝れない……)


レンは仕方なく軽い瞼を上げると、そこには何故か、さっきまでは無かったボロボロの布が置かれていた。


子供一人隠れるぐらいの山なりに置かれており、こちらを見ているような空洞が見える。


レンは触れてはいけない事は分かっていた。触れてはきっとまた何かに巻き込まれる、そんな気はしていた。


しかし、レンの中で、危険性より好奇心が上回り、恐る恐る布に手を掛ける。


「触るな、愚か者」


冷たい少女の声が布の中から聞こえると、レンは伸ばしていた腕をビクっと動かし、そのまま硬直した。


「私の声が聞こえなかったの。早く離れて」


レンはそっと、元の位置に腰を下ろした。


雨は勢いを更に強くし、波打つ役に馬車を立ち付ける。


馬車が大きく揺れると、積み上げられた木箱の中身が動き、様々な音が聞こえた。タルの酒がピチャピチャと音を立てた。するとレンは不思議な事を思った。


(そいえばこの子、どうやって動く馬車の中に入ってきたんだ?)


少女はきっと人間ではないのだろう。


レンは首を傾げた。


可能性として最も高いのは獣人、彼らは奴隷にされることが多く、きっと奴隷商人から逃げてきたのだろう。


上を向き、少女を先に助けるか考えていると、ふとある可能性が頭の中をよぎった。









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