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13 サニィの可能性

 それからというもの、俺達ストームブレイカーは中々のスパンでダンジョンに籠り続けた。もちろん家を買うのに向けた金稼ぎのためだ。

 さすがに連日、毎日というのは危険も多いのでないにしても、2日に1回というペースは身に応えるものがある。


「どーしたどーした! 僕はまだまだ元気だぞっ!」

「慎重に、慎重に」


 いつも先頭で身体を動かしている筈なのに、一番――が、2人いるのも変な話だが、レインとサンドラは変わらず元気だ。

 リーダーとして、常にみんなを引っ張る気概に満ちたレインはともかく、サンドラもというのは珍しい。


 2人はバッタバッタとダンジョンに巣食う魔物達を薙ぎ倒しつつ進む。

 ここずっと格下相手だが戦闘を積み重ねた結果、動きは精錬され、さらに効率のいい戦い方も見えてきて、魔物の死骸も実に状態よく回収できるようになっていた。


「なんだか張り切ってるわね、サンドラちゃん」

「ああ」


 一応、俺の護衛というていで傍にいてくれるサニィとそんな会話を交わす。こんなお姫様扱いにも慣れたものだ。

 守ってもらってばかりの俺が疲れているというのはおかしな話かもしれないが、案外魔術の行使は疲れる。身体的なというより、精神的に。


 そして、魔術師であるスノウ、さらに神器を手に入れ魔力の矢を扱うようになったサニィら、2人の消耗はもっと大きい。

 スノウは常に俺達の周囲に冷気のフィールドを展開している。攻撃性は薄いものの、魔物達の体温を下げ、行動を阻害している。

 俺が使う人間を強化する強化魔術の逆、敵を弱体させる妨害魔術に近いか。それを独学で創り出すとは……天才かよ。


 対し、サニィは攻撃するたびにコストを放出するという弓矢最大の欠点を補う、魔力矢の扱いにまだ慣れていないようで、出力が安定していないようだ。

 もちろん、そんな状態でも百発百中。魔物の急所を容赦なく一撃で打ち抜く。不調とは……?

 今隣で取り繕ってはいるがサニィの表情が若干冴えない。顔色が悪いというほどではないのだけれど、万全とも言い難い。


「サニィ、やっぱり上手くいってない感じか?」

「そうね……アーツとは勝手が違うから、少し手間取ってはいるかも」

「うーん、俺もアーツの感覚は分からないからなぁ……そういや、サニィ。お前回復魔術を練習してたよな」

「ええ……といっても、ここ最近は少しサボり気味だけれど」


 サニィは気まずそうに眼を逸らし――すぐさま弓を構え、魔力矢を放つ。

 そして、物陰から這い出たトカゲ型の魔物の頭を撃ち抜いた。俺なんか気配も感じてなかったのに。


 とはいえ、咄嗟だったから、心の揺れか。

 普段であればトカゲの頭に針ほどの穴を開けるだけですます彼女が、頭丸ごと吹っ飛ばしていた。


「ああ、もう。魔力矢は動揺が形に出るから嫌ね」

「でもコントロールはいつも通りだ」

「それは訓練しているもの。この子も手に馴染んでくれていて、多少心が乱れても大丈夫……なんだけどね」


 愛用の弓を撫でつつ、サニィは苦笑する。

 心が揺らいでも精密な射撃ができるように訓練した結果、心の揺らぎを抑える術は身に付いてないということか。


「そういえば、モノグ君。回復魔術がどうって……」

「ああ、そうだ。魔力矢のコントロール……ええと、命中精度の話じゃなく、魔力矢の生成の方な。それに、魔術のノウハウが活かせるかもしれないと思ってさ」

「そうなの?」

「さぁ。俺は魔力で矢なんて作れないからあくまで予想。これに関しちゃウチも分からないらしいし」


 彼女に神器を与えた妖精の仲間であるウチも神器の専門家というわけではない。

 サニィの神器、モニカと、ついでにスノウが持つ指輪――そのどちらも謎はまだまだ多い。


「でも、もしも魔力矢の生成が魔術に近いもので、そうだな……魔力矢に魔術的効果を付与できたら、面白いと思わないか?」

「それって矢を通して仲間の傷を癒したり、モノグ君の支援魔術を付与できたりするってこと?」

「ああ。といっても、撃つのはお前だから、後半の、俺の魔術を矢と組み合わせるのが可能だったとしても、一緒に居なくちゃいけないし――」


 それに、俺の射程範囲外で、サニィの矢で飛ばしてもらわなくちゃいけないほど遠くに、支援魔術を付与する状況が起こりうるかといえば、想像しがたいものがある。

 咄嗟のアイディアとしちゃあ上出来だと思ったが、やっぱり微妙かな……と、見切りをつける俺だったが、対し、サニィはどこか嬉しそうに目を輝かせていた。


「それは面白いわね!」

「サニィ?」

「ぜひ試してみたいけれど、今は仕事に専念しましょ。ほら」


 サニィが促した方に視線を向けると、冷気フィールドを展開したスノウが、「サボってんじゃないわよ」と言いたげな鋭い視線をバチバチ飛ばしてきていた。

ウォウウォウウォウイェエイ!!


書籍版「雑用係兼支援術師はパーティー追放に憧れる ~世間は追放ブームなのに、俺を過大評価するパーティーメンバーたちが決して手放そうとしてくれない~」が、来週2月5日に発売します!!


SQEXノベル様の公式HPでは、紹介ページもオープンしました!

https://magazine.jp.square-enix.com/sqexnovel/series/detail/zatuyou/

書籍版の試し読みができます。なんと1章部分丸まる! 当然挿絵も見れます!

ぜひ、読んでみて、買うつもりじゃなかったよという方も購入検討いただければと思います。


2章(スノウ編)部分はWEB版とはかなり様子が違うので、ご期待いただければ嬉しいです。

活動報告にも色々書いたのでぜひ見てみてくださいー!


どうぞよろしくお願いいたします!!!!!!

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SQEXノベル様のHPにて書籍版紹介ページがオープンしました(下の書影をクリック!)

WEB版第1章に該当する部分が丸まる読める試し読みも公開!ぜひご覧ください!


syoei



― 新着の感想 ―
[一言] あふぇくしょんしてそうな感じだなオイw 絶対に買いに行きますよ。
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