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07 訓練場

今回はお知らせがあります

 ベルに率いられてやってきたのは町中にある訓練場だった。

 この町には魔術師用の訓練場は無いが、武器を練習するための訓練場は完備されている。

 ボス部屋を彷彿とさせる巨大な円形の広場の中では、冒険者同士が打ち合いをしたり、打ち立てられている的を殴ったり……そんな色々なことができる。


 俺も度々レインやサンドラの付き添いで来させられることがあるが、支援術師として武器を握らない身としては中々に縁遠い場所だ。


「うわー、久々に来たっすけど、ガラガラっすねぇ」

「目と鼻の先にダンジョンがあるのに、地道に訓練しようなんて奴は少数派だろうしなぁ」


 腕試しなら生きた相手でやった方がいいというのも別にわざわざ否定するべき考え方ではないだろう。人それぞれだし。

 俺達ストームブレイカーの場合、ダンジョンに潜る際は原則全員揃ってになるので、今回のような調整メインになってくると訓練場を利用することになる。


「まぁ、あっしらの目的からしたら好都合っすね」

「持ってきた武器広げた方がいいか?」

「いえ、番号振ってあるんで、言った数字のやつを都度出してもらえればオッケーっす!」

「あいよ」


 ありがたいことにこの場はベルが先導してくれているので、俺も大人しく従うことにする。

 武器製作の際の調整について俺は門外漢……とまでは言わないが、ベルの方が見識が深いのは間違いない。


「それではサンドラさん。来る道すがら説明させていただきましたが改めて……現在、モノグ氏の依頼でサンドラさんの新しい武器の製作に着手させてもらってるっす」

「うん。初耳だし、驚いたけど」

「あはは、ぜひ文句はモノグ氏にぶつけてやることをおススメするっす」

「おい、勧めんな」

「さて、サンドラさん。武器を新調するに当たって、何か改善したい点や伸ばしたい長所はあるっすか?」


 俺のツッコミをがっつり無視して話を進めるベル。ああ、なんて頼もしい。


「短所、長所……ねぇ、ベル。サンドラの剣はあるの?」

「ええ。モノグ氏、1番を」

「へーい」


 指示に従い1番とナンバリングされた大剣を【ポケット】から出す。

 なるほど、入れる時は雑に纏めて入れていたから気が付かなかったけれど、普段からサンドラが使っている大剣にそっくりだ。


「細かいところは違うっすけど、ほぼ再現できてると思うっす。一番の違いは刃を潰しているところっすかね。剣には見えますが、実際は鈍器みたいなもんっす」

「全然違和感ない……」


 普段との違いを説明するベルに対し、サンドラは受け取った大剣を感心したようにブンブン振る。

 今のサンドラの大剣を打ったのはベルではあるが、だからといってただ再現するというのも簡単な話では無いだろう。

 こういうところからもベルの腕の高さを感じさせるというものだ。


「ふっ、はっ」


 より実戦に近い想定で、素振りを繰り返すサンドラ。それだけで凄まじい風圧がこちらにも飛んでくる。


 サンドラの剣筋は一言で言ってしまえば、“荒い”。

 長い年月で精錬されてきた様々な流派のそれとは異なる、サンドラの経験だけで培われたサンドラの為だけの剣技だ。


 型のように再現できるものはなく、その時の状況や目的に沿って変化する生きた剣を振るう。

 雑にも思えるが、彼女の異常にも思える身体能力を以てすれば十分以上のものになる。


「相変わらず、力任せという言葉が似合うっすねぇ」

「鍛冶屋としては複雑か?」

「まさかまさか。その逆っすよ。腕が立つと思っている達人には、技こそが至高、武器は二の次と考えてる人も少なくないっす。けれど、サンドラさんのように自身と武器のポテンシャルをそのまま敵にぶつけるような人は、当然武器を軽んじたりはしないっすから」

 

 俄然やる気が出ます、とベルは意気込む。

 俺からすればベルもまた稀有な才能を持つ達人だ。冷静に考えて、既存の武器を打ち直すわけでもなく、最適なサイズ・形に整えるなんて、常識的ではないだろう。

 

「サンドラさーん、そろそろ別のものも試してみませんかー!」

「うん、わかった」


 いいウォーミングアップにもなっただろう。

 サンドラが声をかけるころには、サンドラは薄っすらと汗を浮かべていた。その表情はいつも通り静かなものだが。


「それでは、さっそく別の形の武器も試してみましょうか。いっぱい用意してますからね~、ハイペースで進めていくっすよぉ!」

「うん。よろしくね、ベル」


 ベルが用意したのは総勢50本もの剣――いや、中にはハンマーのような鈍器も含まれていたか。

 下準備とはいえこれだけ入念に用意してもらえるのには頭が下がる。


 やっぱり、何かあればと溜めてきた貯金が吹っ飛ぶくらいの請求額は妥当、それどころかかなりリーズナブルかもしれないな。


 そんなことを再認識しつつ、俺はサンドラとベルのやり取りを遠巻きに眺めるのだった。

いつも本作をお読みいただきありがとうございます。


この「雑用係兼支援術師はパーティー追放に憧れる ~世間は追放ブームなのに、俺を過大評価するパーティーメンバーたちが決して手放そうとしてくれない~」ですが、

なんと書籍化することが決まりました。

これも皆さまからの常日頃からの応援のおかげでございます。

本当にありがとうございます!!


レーベルは「SQEXノベル」・・・あれ? 聞き覚えが無いな・・・?

なんと、スクウェア・エニックス様が来年1月から新規に刊行されるレーベルになっています!

発売が1月かは分かりませんが!!


イラストレーターはクロがねや様です!やったね!


それ以外の情報は発売日含めて追々告知させていただければと思います!

死ぬほど書き下ろししたので、WEB版を読んでいただいている方にもきっと満足いただける出来になっている筈・・・!!

何卒よろしくお願いいたします!


SQEXノベル ティザーサイト

https://magazine.jp.square-enix.com/sqexnovel/

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SQEXノベル様のHPにて書籍版紹介ページがオープンしました(下の書影をクリック!)

WEB版第1章に該当する部分が丸まる読める試し読みも公開!ぜひご覧ください!


syoei



― 新着の感想 ―
[良い点] 書籍化おめでとうございます。 書き下ろし、楽しみにお待ちしております。
[一言] 書籍化おめでとうございます!
[一言] ベル:このままモノグ氏の貯金をいただくっす!    あっでもあっしとの結婚資金・・・(ボソ モノグ:なんか言ったか? サンドラ:抜け駆け禁止!
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