表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほろほろのクッキー  作者: 仁香
1/2

お姉ちゃんとクッキー

昔からお姉ちゃんは、私の機嫌が悪い時はほろほろのクッキーを作ってくれた。


例えばクラスの友達にいじめられた時や、好きな人に振られたとき。

喧嘩した後、仲直りのおやつ必ずほろほろのクッキーだった。


ほろほろのクッキーは私の小さいときからの大好物で、

お姉ちゃんは私の様子がおかしいことに気づくとすぐにクッキーを作る準備をしてくれた。


口の中でほろほろと崩れていくクッキーを食べると、私の頑なな心もほどけていくような気がした。


ある日のことだった。

いつもはお姉ちゃんが日付が変わっても帰ってこなかった。

携帯に連絡してもつながらず、心配した両親が探しに行こうとしたときお姉ちゃんは帰ってきた。


その日、私は初めてお姉ちゃんの泣いた顔を見た。


両親は何があったのかお姉ちゃんに問い詰めたけれど、お姉ちゃんは頑なに口を開こうとはしなかった。


その日を境に、お姉ちゃんが家に帰ってくることが少なくなった。


綺麗な黒髪も、いつの間にかだんだん明るい色になっていったし

化粧をすることもなかったのに、まるで自分の顔を隠すかのようなメイクにかわっていった。


そんなお姉ちゃんになんて声をかけてもいいかもわからず

姉妹の時間も、会話も少なくなっていった。


お姉ちゃんの真似をして、ほろほろのクッキーを焼いてみたけれど

料理なんてしたことがなかった私のクッキーは、なんだがぼそぼそしていて、おまけに少し焦げてしまって

ちっともおいしくなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ