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魔法使いの森  作者: 小野小町
3/12

夢の中からゴスラーへ

「行ってきます〜」

 リリアナは元気よく家を出た。自転車通学をしている。

「行ってらっしゃい、リリアナ。気をつけるのよ」バーバラはいつものように見送った。


 リリアナが通う高校は普通科の共学。

 リリアナはリリーと呼ばれてた。

 リリーの友人、園田真里が声をかけてきた。

「リリー、おはよう!」

「真里、おはよう」少しいつもよりトーンが下がった返事だった。

「あら、元気ない?」すかさず、真里が気づいた。

「そんな事はないんだけど、なんか体調がおかしいの。ダルイというか…」

 真里が風邪ひいたんじゃない?と言うと

 リリアナの額に手を当てた。

「リリー! 熱あるじゃない?保健室行こ 」

「大丈夫」というリリーを無視して強引に保健室へ連れていった。

 保健室の先生の矢野京子は、リリーに体温計を渡した。

「小野さん、風邪ひいたのかしらね。熱いわね

 熱が高ければ早退してね」

 ビピピッ! 

 体温計は38度だ。風邪かな…どうりでダルイはずだ。とリリアナは思った。

 矢野先生に言われ、早退する事になった。

 早退した事を母ダイアナにラインした。

 しっかり休みなさい。と返信あり。


 家に着いて、寝間着に着替えたリリアナは

 自分のベッドに入るないなや、知らない間に眠りについた。

 そして不思議な夢を見た。


 リリアナは見たことのない場所にいた。

 外国のようだ。

 木組みの民家が建ち並ぶ田舎町。


 しばらく歩いて行くと、鱗のように壁を敷き詰めた建物たち。

 その右端の建物の屋根に鐘が取り付けてあり、何分かおきにメロディーを奏でている。

 リリアナは街の人に声をかけてみる事にした。何故か古びたパン屋が気になった。お腹も空いていたからかもしれない。


「あの、すみません。私、道に迷ったみたいで。

 ここは何てとこですか?」


 パン屋の店主は言った。しわがれた声の70代くらいの女店主だ。

「あら、お嬢さん、見ない顔だね。どこからきたのかね、ここはゴスラーだよ。賑やかな街さ。

 近くには鉱山やブロッケン山がある。鉱山や農業でこの街は潤ってるのさ」


 ペラペラ話好きな店主は話続けた


「泊まるならゴスラーにしなよ。山には近づかないことだよ。なんなら家に泊まるかい?

 あんた、私の生き別れた孫に似てるんだよ。私も一人で寂しいだ。実をいうと」


 パン屋の店主はメアリーというらしい。

 人を疑う事を知らないリリアナは喜んだ。

「ありがとう! メアリーさん、一晩お世話になります」


 メアリーは夕飯に沢山のパンとスープを出してくれた。パンは店の売れ残りだ。

「こんなものしかなくて、すまんね、お嬢さん」メアリーは申し訳けなさそうに言った。


「とんでもないです。私、リリアナと申します。

 道に迷い、とても不安で、本当助かりました」

 リリアナは笑顔で答えた。


 メアリーの表情がいっきに変わった。

 驚きと期待がこめられたように見えた。


「リリアナ…?本当かい?フルネームは何だい?」

 リリアナは不思議に思いながら ゆっくり、答えた。

「私は 小野・ベーカー・リリアナ です。

 メアリー?」


 メアリーがあまりに驚いているのでびっくりした。 


「私はベーカー・メアリーだよ。

 お前のお母さんは確か日本にいる。孫に似てると思ったが、本当に孫だとは。

 おぉ〜! 可愛いリリアナ‼ 」


 言うなり抱きしめてきた。目を細めて、顔をくしゃくしゃにしながら、目には涙が溜まっていた。


 リリアナとは一歳の時に両親の新婚旅行で会ったきり、

 会わずじまいだったそうだ。娘、バーバラと手紙のやり取りはしており、最近のリリアナの写真を見ていたため、似ていると思ったと。メアリーは興奮気味に話してくれた。


 祖母に再会出来た嬉しさで幸せな気持ちになった。


 旅の疲れか、ベッドに入るなり、

 意識がうすれていき、眠りについた。












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