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司法省クライシス

「そんな状態でよく、サムを助けてくれなんて話ができたわね。そもそもサムを男として特務局に引き入れたことが、そもそも背任行為じゃない。

 そんなことが司法省にバレたら、クビどころじゃ済まないんじゃない?」

 エミルの疑問に、ダンもうんうんとうなずいて返す。

「だろうな。最悪、罰金刑か投獄されるか、かなりヤバい状況にあることは間違い無いだろう。

 だが今のところ、確かに監視されてるのはされてるみたいだが、どうやらオフイスに監視員がぞろぞろ詰めてたり、電話を傍聴したりって感じじゃ無い。じゃなきゃ俺と『娘を助けろ』なんて話、できやしないからな。

 と言うか多分、司法省も局長宛てに電話が来るとは思って無かったんじゃないかな」

「って言うと?」

 けげんな顔をして尋ねたスコットに、アデルが答える。

「マジで3チーム全滅ってことなら、誰からも電話なんか入るわけ無いって話だろ。

 仮に組織が電話かけてくるんなら、わざわざミラー局長じゃなく、司法省長官にかけるだろうからな」

「なるほどな。……だけどそれ、何か変じゃないか?」

 ハリーにそう返され、今度はアデルがけげんな顔をする。

「どう言う意味だ?」

「いきなり誰だか分からん奴から『お前のチーム皆殺しにしたぞ』なんて電話かかってきて、それを真に受けんのかって話だよ。

 いくら局長が連絡途絶を報告してなかったとしてもさ、簡単に信じすぎだろ?」

 ハリーの意見に、アデルも一転、首をかしげた。

「確かに……。そんな眉唾な話、まんま信じる方がどうかしてるな」

 話し合っていた皆の顔に、不安の色が浮かぶ。

「もしかしたら、だけど……。信じるとか真に受けるとかそう言うレベルじゃなく、司法省は元からその経緯を『知ってた』んじゃないか?」

「つまり、司法省に組織の手先が既に入り込んでて、そいつが匿名の電話を口実に、組織を探ってた特務局を潰しにかかったってことか」

「その説が事実だとすると――それだけ迅速に手を打ってきたって言うなら――最悪、司法省長官からして、組織の一員って可能性も出て来るな」

「マジか……」

 やがて6人は、互いに神妙な顔を突き合わせた。

「どうあれ、サムを助けようと助けまいと、このままワシントンに戻るのはヤバそうだな」

「確かにな。下手すると『お前らも局長派だな』みたいな難癖付けられて、揃ってお縄になりかねん」

「じゃ、どうすんだ?」

 誰ともなく尋ねたダンに、ロバートが手を挙げる。

「パディントン探偵局に来るってのはどうスか?」

「はぁ?」

 その突拍子も無い提案に、ダンたち3人は目を丸くしたが――一転、異口同音に「いいかもな」と言い出した。

「元から特務局が潰れるって話だったんだし、仕事内容が同じだってんなら、それでもいいよなぁ」

「同感。ま、そっちの局長がどう言うか次第だけども」

「アデル、良かったら口聞いてもらえないか?」

 3人から頭を下げられ、アデルは苦い顔をする。

「そりゃあんたたちの頼みなら嫌とは言えないが、探偵局の人手は足りてるからなぁ。こっちの局長がうんと言うかどうか分からんぜ」

「ま、そこら辺は『狐』サマ次第ってとこか。……じゃないっつの」

 ダンはブルブルと首を振り、話を元に戻す。

「今話すべきはサムのことだろ」

「あ、そうだった」

「コホン、……えーと、どこまで話したっけか。ああ、そうそう、特務局が業務停止しちまったってとこからか。

 ともかくそんな状況だから、特務局からの支援も受けられないし、逮捕権限も取り上げられた状態だと考えた方がいい。だからもう、横領犯の逮捕云々って話は、捨てていいだろう。

 そりゃ犯罪者を野放しにするのは腹立たしいが、逮捕権限を失った俺たちがバッジ見せて『逮捕する』っつって連行したところで、ワシントンに着いた途端、俺達まで逮捕されちまうだろう。そんなのはバカバカしすぎるぜ」

「となれば、純粋にサムを助け出すことだけを考えりゃいいってことだな。それと、同行した仲間3人も」

 と、そこでエミルが手を挙げる。

「それが目的なら、一番重要な情報がまったく抜けてると思うんだけど?」

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