19話 対峙
煇羅の索敵通り、周囲には鬼人の上位種の鬼牙、更にその亜種及び上位種もいる。魔鬼牙は魔法の扱いに長けているので、真尋の言う通り魔法壁の場合かき消されてしまう。それどころか逆に相手の守りに使われることさえある。
「…そうは言ってもさ、現実制御を奪うのにどらくらい時間かかるんだ?」
「ファイアボールなどの初級なら長くて3秒、短くて構築中。ファイアウォールなどの中級なら長くて10秒、短くて2秒。」
いくら魔法の扱いに長けていても、他人の組んだ術式や魔法構成、使用者の魔力を完全に読み取り、改変するのには多少の時間を要する。
「いい作戦があるんだが。聞いてくれないか。」
「おう」
「無詠唱で突っ込む。」
「は?」
「無詠唱で反応させる間も無く突っ込む。あのレベルだと一体撃破でも確実に所持魔力より取得魔力の方が上回る。だから一気に決める。」
「なるほど…隠密使ってあいつらの真ん中まで移動しよう。僕の全域放電で攻撃開始。これでいい?」
「「「異議なし!」」」
「それじゃ、隠密貼るよー!“光”“光学迷彩”“透明化”!“闇”“魔力隠蔽”」
「闇魔法便利だな…」
有人はそう呟きながら嫌な予感を感じていた。闇魔法を使いこなすということはあの魔獣のような何かと融合を始めていると考えられるのだ。つまり真尋の魔獣化が進行しているのだ。それは協会のサンプリングに加担しているということでもある。…便利なのは確かだが、不安要素は残る。
「今だ!」
無詠唱で放たれた放電は完全に不意を付いたらしく、動きが完全に止まっている。
「これなら…行ける!」
各々無詠唱で次々と魔法を放つ。有人も氷柱を作りまくる。残り一体となった所で、半詠唱魔法に切り替える。
「“氷”“風”“融合”“氷嵐”」
氷の礫を含む嵐で一気に攻撃を加えていく。王鬼牙は体力こそ化け物だが魔法耐性はない。故に魔鬼牙を侍らせる。しかし今はもう魔鬼牙は討伐されている。
「決めるぞ煇羅ぁ!」
「了解。」
「“氷”“超硬氷製”“不屈金剛”!」
「 “雷”“電磁砲”“飛翔体変更:氷”“飛翔体セット”“発射”!」
FMJ顔負けの超硬度の氷弾が王鬼牙の額を貫き、そのまま貫通する。
連投です!18~20,21話くらいまで!




