プロローグ
2020年──世界的都市東京で四年に一度の祭典、オリンピックが開催されていた。熱気の渦巻くスタジアムで、様々な種目に人々は熱狂した。
その会場の1つの競技場で歴史的な事件が起きた。
空を切り裂いたその黒い空間から古代の生物...いや、古代生物兵と言ったほうが正しいだろうか、大量に放出された。
およそ7万の観衆は蜂の巣をつついたように逃げ惑った。
ある1人の少年は運の悪いことに、非常口から離れたところに席をとっていた。案の定逃げ遅れた彼に怪物は容赦無く食らいつこうとした。
その時だった。彼のすぐ横を男がすり抜けて行った。
「“氷”“凍結”」
たちまち怪物は凍りつき、動きを止めた。
同様の事件が各地で起こり、多くの犠牲者を出した。その中でもまた魔術により鎮圧した者が多くいた。
この1件より世界に魔術というものが知れ渡った。これまで無いと思われていたものであったので、世界の魔術学者の地位は爆発的に上がった。
中には、扱いを間違える者もいたが、次第に魔術は便利なものとして捉えられた。しかし、魔術を使うには適正があった。何らかの劣等感を持ち、かつ正しき意識を持つこと。欠点を補うための魔術…とでも言おうか。故に現状に不満のない者には発現しない能力だ。
そして、襲われた彼はその適正の枠に含まれていた。そしてこれは魔術を使える彼の物語だ。
はい、ということで始まりました、続くかどうか分からない小説投稿です。生暖かい目で見てやってください。