17話 壊滅と進展、停滞
当たり前のようにそこにあるが、しかし当たり前のようにそこにない。しかしそれは多少の干渉によりいとも容易く崩れてしまう。
予想外であった。誰もが。油断しきっていた。想像すらしなかった。怠惰であった。烏滸がましい程に。再び、日常が奪われてしまった。
───まさか大規模襲撃が続けて訪れるとは。まさか東京以外でも発生するとは…
先の大規模襲撃から2日後、福岡県全域で襲撃が起こった。これまでただ一つの集団を除くほぼ全ての人が、東京───いや関東圏でのみ起こると考えられていた魔物の襲撃が。
しかし、関東圏から九州まで移動には時間がかかる(とは言っても飛行機や新幹線など交通機関の類より確実に速いが)。ホールは移動距離に制限があり、連続使用ができず、クールタイムが発生する。クールタイムを短くするには短転移装置を必要とする。
一応各地方に魔術協会の支部があるとはいえ、鍛え抜かれた関東本部には劣る。転移に時間をかけすぎると壊滅の恐れも生じる。
結果として比較的援軍のルートになりやすい本州に近い北九州市付近は壊滅、ほぼ復旧の目処は立てられない、という状況に陥った。さらに現場には次のような残留思念が残されていた。
“我ら 神の申し子 を 探している。見つけ次第渡せ。 この世界が滅びる前に。嫌なら渡さなくて良い。 世界が消えるだけだ。 対策か?出来るものなら我らを倒せ。それだけだ。”
神の申し子…いわゆる特殊能力保持者である。魔術協会の資料によると、過去1度だけ現れたと言う。恐ろしく強く、封印の末、申し子は消えた…と伝えられている。それがあったのは西暦1431年のことであった。
それ以降神の申し子は生まれていない。少なくともそういった報告はない。ただ、一般人に紛れており見つからなかったという考えも存在する。政府機関は協会とは別に申し子は一般民の中に存在していると考えた。
そして発表されたものが───全民魔法戦士化計画───強烈な魔力を当てることにより全ての人の魔術回路を強制的に開こうというものだ。未だ実行段階では無いものの、全ての国民の魔術回路は開くことが出来るという。
しかし、この計画には大きな問題点があった。動物の魔獣化だ。第1次大規模襲撃の際、スタジアム上空を飛んでいたカラスが魔獣化し、後にエリスクロウと呼ばれる烏型の魔獣となった報告がある。1匹2匹ではない、上空にいたカラス全てだ。最近の研究で再現性が確認された。
さらに、このことからこれまで考えられてきた“正しい意識を持つもの”という条件が否定されたことになる。
世の中には不随患者に電気信号を与え、脳にその動きの回路を作り出すという治療の研究が行われているという。それを魔法で代用しようということだ。
だが、故意的に人体に魔術回路を生み出すことは禁忌とされている。人間もまた動物。魔獣化の可能性があるからだ。
この問題が解決するまで政府は頭を抱えることとなった…
はい、続きです…
ストックはかけてるけどストックの先が書けない!(3本も書くからやな)




