14話 幼馴染が家族になった日side煇羅
僕はその日、オリンピックの会場に来ていた。家族4人と見に来ていた。僕はあまりスポーツは好きではなく、見ることすらめんどくさいと思った。こんなことよりも勉学に励む方がよっぽど有益だ。馬鹿みたいに同じ場所をぐるぐる走ったりぴょんぴょん跳んだり、正直アホの集まりなのではないかとまで考えていた。
そうこうして競技が進んでいた。しかし事件は起きた。空に空いた穴。そこから出てくるおびただしい数の生き物。この世のものとは思えないが、しかしどこかで見たことのあるそれは観客目掛け飛び出していく。そのうちの1匹がこちらの方向に目をつけた。正確に言うと僕達の隣のブロック…来賓席だ。土煙を上げながらフィールドを突っ切ったそいつは今度はコンクリートを粉砕しながら駆けてゆく。
怖いとしがみつく妹をあやしながら、僕は逃げあぐねていた。不意に周囲が暗くなる。ハッとして見上げると瓦礫の一部が飛んできていた。逃げなければ。そう考えるも膝が笑って動かない。万事休す──そう確信し、目を瞑る。しかし、衝撃は縦ではなく横に伝わった。
何かに背中を打ち付け、痛みを感じる。何があったのだろうかと目を開ける。
先程までいたところに瓦礫がある。
砂埃でそれだけしか分からなかった。ふと気づく。妹がいない。衝撃で離したのか。いや、背中をぶつけるまでしっかりと抱えていたはずだ。
「星!!!」
叫ぶ。返事は無い。しかし、微かな音が聞こえた。
か弱い泣き声であった。その時、異臭に気がついた。さびた鉄のような───血の匂いだ。
続いて悲鳴が聞こえた。これは…お母さんか…と妙に冷静に判断した。泣き声ではあるが妹が生きていたという安堵からか。
悲鳴の元へ辿り着くと、見たことのあるものが落ちていた。見た事のある布をまとった肉塊だった。そこには自分たちを襲った瓦礫があった。煇羅は瞬時に理解した。理解した途端に様々な感情が現れる。
畏怖、不安、安堵、憎悪、焦燥、悔恨。
その肉塊の主は父親であった。あの衝撃は父が僕達を突き飛ばした衝撃だったのだ。
火事場の馬鹿力とはよく言ったものだ。と感心する。
あの時聞こえたグシャっというなにかの潰れた音は…想像してはいけないものを想像してしまった。そして…再び視界に影が差す。今度は分断させられてしまった。
「母さん!星!」そう叫んだ時、悪寒が走る。これは…ティラノか?それにしては物騒なものを積んでるな、と思いながら観察する。恐竜などという普段ならありえないものが目の前にいる。観察するのも無理はなかったが、この際、そんな隙は与えられなかった。躊躇無く煇羅に顎門が迫る。
あ、これ詰んだな。そう悟った。走馬灯も見た。人参ではなくランタンをつけた馬が走り回ってた。走馬灯ってそういうことなのか!?とツッコミを入れる余裕はあったみたいだが。
しかしその顎門は煇羅には届かなかった。目前で消し飛んだ。そこには雷神が立っていた。
続きが書けない!そんなこんなで書きました!
過去編って難しい(なぜ書いたし)




