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悪運少年と闇堕少女  作者: 試作2号機
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13話 幼馴染が家族になった日side有人

 その日は家族総出でオリンピックに来ていた。日本で夏季オリンピックが開催されるのはこれで2回目だ。とても珍しい事だし、折角なら、と来ていた。

 その日、悲劇が起こった。スタジアムの上空に禍々しい空間の穴とでも言えるSFとかに出てくるような空間のゲートが発生した。そこから先の記憶は曖昧だ。何か見たことのあるようなないような動物…いや、怪物が競技場を荒し回ったのは確かなのだ。そして、奴らは標的(ターゲット)を俺()観客に変更した。俺の家族は避難口から最も遠いところで観戦していた。皆逃げ惑い、混雑どころの騒ぎではなかった。一体が投げた建物の残骸が俺のすぐそばを通り抜けた。目の前にいるはずの母親がいなかった。自分の手を握っているはずの母は肩から先を遺し、瓦礫の中に沈んでいった。

 俺は母親が好きだった。いつまでも平和な家族でいると思っていた。何よりも一番家族を大切にしていた俺にとってそれはある意味での死を意味していた。

 追撃が俺を標的にしたものだというのはすぐにわかった。俺はその場を動けなかった。あまつさえ母親に逢えるとまで考えた。しかし、救世主(ヒーロー)は被害が出てから遅れてやってくる。氷使いの救世主に助けられた。熱くなっていた頭は彼の放つ冷気に冷まされ、冷静に判断出来るようになった。その時、自分の中の何かが目覚めたような気がしたのは後々魔法が使えるようになるという前兆であったが、当時はまだ知らなかった。

 その後、ひたすらがむしゃらに逃げた。スタジアムの外が安全であるという保証はなかったが、逃げなければいけないというただそれだけで逃げ切った。

 外に出るとスタジアム内であったことが嘘のように平静であった。寧ろなぜスタジアムから出てきたのかわからないという騒ぎになっていた。この一件での死者は観客の半数を超え、約四万五千人にのぼった。

 誰もいない家で独り、安否の分からない家族を待っていた。その日は暑く、しかし空調をつける気力もなくただ(うつろ)に意識を委ねていた。その時、突然ドアが開いた。鍵を閉めておいたはずだった。つまり───

 「ただいま。有人…無事だったのか…遅くなったな。」

 父親の帰還だ。しかし───

 「話すことがある。」

 この日から、幼馴染が家族になった。

PSO2ハマりすぎて全然書いてない…マジすんません…

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