11話 通常種と亜種
後ろからやってきたのは水豚人だった。彼らの中には言語を習得し、人間と取引する者もいるが、この群れは明らかに敵対勢力だった。変異種…つまるところの亜種であるが、水豚の場合、仲間への能力付与が可能になる。名前も水豚人亜種もとい水豚王となる。
魔獣には討伐ランクがある。豚人種ならば最低ランクのE、海馬はD。亜種になると強化されている場合(王化など)は元のランクに“+”が付与され、弱化されている場合(劣化など)は“-”が付与される。劣豚人などが当てはまる。劣化種はかなり少ないのだが。現存する魔獣で最高ランクはSS。神話レベルは一応EXになっている。某ハンティングアクションゲーム、“魔物を狩るもの”で言うところのミラールートのような感じだ。
豚人の群れと遭遇した時、絶望を覚えた。普段なら駆け出しの頃でさえも一撃で仕留めることが出来る豚人だが───サイズが違う。いつもよりもデカい。亜種ではない…特異種か。それもとびきりレアな水豚人の。豚人はなかなか特異種にならない。世界でも発見報告はまだ少なく、希少な存在だ。能力値も格段に上がるため、豚人のランクEから大幅に上がりランクAとなる。
「変異種は…豚巨人だ!」
「は!?マジで!?」
煇羅に報告するとものすごく驚いている。何せ発見例は少なく今回を含め日本で3例目になるのだから。
「烏丸討伐隊より報告!エリアTK-28南西部において豚巨人と遭遇!捕縛隊、調査隊の派遣を要請する!」
『こちら第7ギルド!捕縛隊、調査隊の派遣要請承認!現場までおよそ15分!目標豚巨人!烏丸討伐隊及び付近の討伐隊は捕縛の協力に応じること!』
オペレーターの指示に従い、部隊がいくつか集う。捕縛しやすいように体力を削っていく。とは言うものの実際は流石はAランク、といった通りの耐久力でなかなか攻撃がうまく入らない。対物狙撃銃であっても大したダメージではない。
「えいやっ!」
真尋が魔力を込めた弾丸を使用した。魔力でコーティングされた弾丸は威力が上がる。そこではたと気づく。
「これ魔法使っても良くね?」
その通りである。豚巨人となると属性が無くなる。さらに豚人種自体、物理耐性が高く、普通の攻撃は効き辛い。
豚人には大抵炎属性が効く。豚人の弱点属性変化はほとんど発生しないため、安定する。駆け出しでも倒せるのはこういった特徴があるからだ。
「“炎”“複数”“火柱包囲”」
複数の炎属性使いが仕掛ける。みるみるうちに豚巨人の体力は削られていく。さらにこの火柱が目印となり、捕縛隊の現着を早めた。元々豚人には高い知能があるので、親玉がやられた時点で戦意は喪失していた。投降する彼らには攻撃を加えない、そう決まっている。彼らは人間と同じ法で裁かれることとなる。本人が望めば人間社会でも生活することができるようになる。彼らのその後はこの場の誰も知らないが恐らくいい運命とは言いきれないだろう。
お久しぶりです!いつの間にかコメントも頂いててなのに…はい!最近忙しくて書けてません!すいません!PSO2はまってまして!デザコン出しちゃいましたし!しばらくストックの投稿になるかな?




