邂逅編/初めての依頼
俺はギルドの入り口に立っている。
中に入ろうと一歩を踏み出した。
「ちょっと君!」
ギルドの入り口で赤い髪の番人らしい人に声をかけられた。鎧がきらきらしている。
「新人っぽいけれど、どこかのギルドに所属している?」
「してません。情報や仲間を集めるならギルドに行くと良いと言われたので来てみました。」
「ギルドに所属していないなら、酒場の利用のみできるわよ。情報や仲間はここでも集められるよ。」
「ありがとうございます。ちなみにギルドに所属するには何か条件はあるんでしょうか?」
「ギルドに所属するには、対応する力を示すか、ギルドの誰かの紹介が必要になるよ。ここは魔術師ギルドと商業ギルドの支部があるわ。」
「分かりました。酒場の利用でお願いします。」
門番さんはにっこりと微笑むと、俺を酒場に連れていってくれた。老若男女、様々な人たちがお酒を飲んだり談笑をしている。賑やかで楽しそうだ。
「ここが酒場よ。見ての通り、多種多様な人々がいるわ。お金があるならお酒や飲み物、軽食もとれるわよ。」
ここで一つ気になったことが出たので尋ねてみる。
「ここで食べた食べ物って現実的にはどう感じるのでしょうか?さすがに栄養はとれませんよね?」
「それはそうだよ。栄養はとれないね。ただ、満腹感は感じるし、味や匂いは完璧に再現されているよ。この世界ならいくら食べても太らないから痩せたい女性にも助かるね。」
彼女は笑って答えてくれた。
「お金が少ないなら、まずは掲示板で依頼を達成すると良いよ。依頼も人が出しているから、良い出会いの場になるかもね。」
「ありがとうございます。掲示板を見てみますね。」
俺はお辞儀をして掲示板に向かう。彼女は手を振ってくれていた。
しばらく掲示板で依頼をチェックしていると分かったことがある。ここには初心者向けの依頼が多い。報酬の宝石は少ないみたいだが、依頼文から内容を容易に想像できる。
この街自体がチュートリアルの舞台のようだ。
「魔物退治、薬草採取、雑用……」
折角槍を買ったので、魔物を退治するのが良いかもな。この世界で身体を動かすのに慣れておきたい。
チリンチリン!
「魔物退治……とびウサギの退治を受けたいです。」
「はいはーい!」
ベルを鳴らすと、受付嬢のような元気な人が来てくれた。
「初めて依頼を受ける方ですかー?」
「はい。初めてです。」
「確認事項があるけれど良いかなー?」
「はい。確認事項を教えて頂きたいです。」
あちらこちらに動き回りつつ色々教えてくれている。この人、とても元気な人だなぁ。
「この依頼は人の依頼ではないので、キャンセルはいつでもできますし、依頼の失敗もありません。もし死んでも、大きな門の前にテレポートするので安心安全です。」
「分かりました。」
門の前はやっぱりリスポーン地点なんだな。
「とびウサギは初心者の草原にいますよ。場所はこちらです。」
彼女は地図を指し、場所を教えてくれた。この街を出たら直ぐに草原だそうだ。
「武器は装備しましたか?持っているだけでは意味はありませんよ?」
「ちゃんと装備してますよ。」
俺は初心者用の槍を見せた。
「準備はできているんですね!初めての依頼、死なないように頑張ってくださいね!健闘を祈ります!」
「死なないように……ですか」
そして俺は不安を感じながら街の外の草原に向かった。




