邂逅編/洗礼
「ここは…門?」
俺がいるのは大きな門の前。目の前には建物があり、街が広がっている。現実世界に似ている景色だ。ここから新しいプレイヤーが出てくるらしい。俺の他にも何人も門の周りにいるな。
「まずは鉱石を確認してみるか。」
街を歩きながら、念じてアイテムを確認する。確かにリストと図が表示された。赤と緑の鉱石が煌めいているな。これを売るにはどうするんだ?
「すみません。お尋ねしたいのですが、この鉱石はどこで売れますか?」
「鉱石はそこの赤い看板の石屋で売れるよ。モンスターから取れたり、クエストやイベントの達成でもらえる鉱石や宝石もここで売れるらしいぞ。」
「ありがとうございます。助かります。」
俺は周りの人に聞いてみる。快く答えてくれるのはありがたいことだ。
早速売りに行くかな…と。
「そこのお前、初心者だな?」
「?はい。初心者です。」
「それなら…鉱石を渡してもらおうか。」
「!?」
キャラメイク直後に強盗に出くわした!?まずい!
俺は石屋に向かって走り出したが…
「悪く思うなよ。そらっ!」
サクッ
背中が熱い?身体が冷たくなって動かない…眠くなってきた…
目が覚めたら大きな門の近く…に戻っていた。襲われたことを思い出し、すぐにアイテムを確認するも…
「今のは!?身体に変化はないが……鉱石がない!」
アイテムは空っぽだった…。最悪な気分だ。
そこを見計らったかのように。
「新人さん?宝石を取られたのかい?」
黒髪で力の強そうな好青年…人が良さそうなのが怪しく見える。
「取られてしまったので、何ももってませんよ。」
「やっぱりそうか。さっき襲われていたからな。ここらでは新人狩りは多いんだよな。これをどうぞ。」
さっきの姿を見ていたのか…。そして彼は宝石を3つ出してくれた。なぜ?
「これをくれるのですか?」
「俺も先月まで新人だったんだけどね。そのときに同じ目にあってね。同情したわけ。」
「ついでに教えてあげよう。所持している道具は思い浮かべて実体化させることもできるよ。この宝石みたいにね。」
彼は手のひらで宝石をジャラジャラと鳴らす。
「どうも。貴重な情報をありがとうございます。俺はユイトと言います。」
感謝と名前を伝えながら、俺は宝石を受け取った。なるほど、良い人かも。
「ユイトか。良い名前だな。そこの石屋まで一緒に行ってあげようか?石を売ってみるといい。」
「目の前だから一緒でなくても大丈夫ですよ。」
と返したが店まで着いてきてくれた。彼の助言に従いながら、宝石を売ったところおよそ12000円になった…。
「円…!」
「驚くよね。現実世界と繋がっているからか、お金の単位には円があるんだ。海外のお金もあるそうだが、俺たちは円だな。」
なるほど…ゲーム内で資金が稼げるなら仕事をせずにこのゲームで生活をする人がいる理由が分かる。第二の人生にうってつけだ…!
「他に聞きたいことはあるかい?」
「…装備はどこで買えます?」
「そこだよ、石屋の隣。スタートとリスポーン地点のこの門の周りに基本的な施設はあるから覚えておくと良い。装備は自分の得意なものや使いたいものを買って慣れると良いよ。」
「本当に助かりました。ありがとうございました。」
「良いって良いって!自己紹介が遅れたが、俺の名前はツカサだ。ユイト、何かあれば連絡してくれ。情報や仲間を集めるなら、ギルドに行くと良いぞ。お互いに良いシックス・ディメンションライフを!」
彼の名前はツカサというそうだ。結晶を光らせながら、消えていった。俺は槍と防具を整え、門の近くにあるギルドに向かいながら思った。
連絡ってどうやるの?




