溢れる色彩と闘争の宣告
世界がもし、色で溢れすぎたら——
人間はきっと、それを“整理”しようとする。
これは、そんな世界で生まれた少年たちの物語。
彼らは「色」であり、「命」でもある。
生き残るのは、どの色か。
消えるのは、どの色か。
色の存続かけた闘争が、今、始まる。
世界は、色に溢れすぎた。
空は群青を失い、花は名を奪われた。
絵筆を握る人間たちは、ついに決断した。
——色を、人に還す。
選ばれたのは“色の化身”と呼ばれる少年たち。
彼らが織りなす二色の組み合わせこそ、世界を彩る根幹である。
そして今日。
“今後も遺る色”を決めるための戦いが始まる。
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2✗✗✗年,1月6日──
ある日、【色彩の魔術師】マルク・シャガールが、一つの場所に色を集めた。
そこに広がるのは、真っ白で何もない、まるでキャンパスのような空間。
その無の世界に立ち並ぶのは、三十三の色を宿す少年達。
彼らは互いに違う輝きを放ちながらも、同じように困惑し、息を潜め、身構えていた。
その視線の先には───
一脚の椅子。
そこに座る、一人の男。
手には絵筆とパレット。
白衣の袖口には、まだ乾ききっていない絵の具が付いている。
男、マルク・シャガールはゆっくりと口を開いた。
「お前たちは増えすぎた。」
「世界を美しく統一するための色が、なぜ秩序を乱し、騒々しく存在しているのか…。」
「——増やしたのは人間の方だろ」
低い声が空間に響く。
どの色が言ったのかはわからない。ただ、その反論はここにいる全ての色の想いでもあった。
シャガールは、穏やかに目を細めた。
「そうだ。人間が、お前たちを生んだ。」
「お前たちは美しすぎた。人はお前たちのその美しさに耐えきれなかったのだよ。」
絵筆の先から、ひとしずくの絵の具が落ちる。
白い床に落ちたその雫は、瞬く間にひとつの“色”を飲み込み、消し去った。
「だが……創造の裏にはいつだって破壊がつきものだ。
だから——今、私は問う。“生き残る色”を。」
その言葉と同時に、真っ白な空間が脈打つ。
光が収束し、二つずつの色が線で結ばれていく。
やがて、光の線は16組のペアを生んだ。
シャガールは満足そうに微笑むと、椅子から立ち上がり、こう言った。
「これより“色の選定会”を始めよう!」
マルク・シャガールの声が、真白な空間に溶けていく。
「生き残った色だけに、今後の“類色繁栄”を認めよう。」
その言葉に、少年たちの喉が鳴る。
そこには、己の色を守らんとす使命と、誇りと、少しの恐怖があった。
シャガールが筆を掲げると、光の裂け目が空間を走った。
「そして——闘争の講評と観測は、我々が行おう。」
その声に応じるように、四つの影が現れる。
【万能の天才】
レオナルド・ダ・ヴィンチ
「美しいものと醜いものはともにあると互いに引き立て合う。見せてもらおう、お前達の美しさと醜さを。」
【炎の画家】
フィンセント・ファン・ゴッホ
「色が叫ぶ…。魂が燃える…。ははっ!いいね、心が震えるよ!」
【光と影の魔術師】
レンブラント・ファン・レイン
「うん、どの色も光と影に満ちている。素晴らしいことだ。光と影が重なる瞬間こそ、君たちが最も輝く時だろう。」
【光の画家】
クロード・モネ
「どんな色も、光の下で輝くことを願っている。我々は責任を持ってそれを見届けよう。」
彼らが並んだ瞬間、空間に巨大な光の円が描かれた。
それはまるで、世界を覆うキャンバス。
「——生き残るのは、どの色か。じっくりと見せてもらおう。」
「お前たちの健闘を祈っているぞ。」
シャガールの言葉と共に、空間が裂ける。
「これより闘争の開始を宣告する!」
皆さんはじめまして。
この度小説家になろうにて投稿を始めました、蒼原と言います。
大きなサイトでの長編小説は初めての試みとなりますが、自分のペースで頑張っていきますので、温かい目で応援してくださると嬉しいです。
※トーナメントについては次回の頭に発表しようと思います。




