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第5話 魔物との遭遇

「ぶるるっ……ぷるるっ」


草むらの陰から、突如ぴょんと現れた透明のゼリー状の塊――スライムが一匹。


「うわっ!?なんか出たあああああああああっ!!!?」


旺真の叫び声が草原に響く。

思わず後ろに飛びのいたその瞬間、


「ひゃっはっはっはっ!さいこー!びっくりしてるぅ~!!」

「ひゃっはっはっはっ!ひぃひぃ!」


スライムがぷよぷよ揺れていて、楽しそうにピョンピョン跳ねている。


「……ん?てか笑いすぎだろ!!何もないと思ってるところから急になんか出てきたら一番驚くだろ!」


旺真が思わずツッコミを入れると、スライムが止まり、ぷるっと震えた。


「えっ!?ぼくの声、聞こえてるの!?すっごーい!」


「へっ?」


「えっ?えっ?人間にぼくの声が聞こえるの!?本当に!?うそじゃない!?話そー話そー!」


「いやいやいや、ちょっと待って、落ち着いて!?え、これって普通じゃないの?」


「ぜーんぜん普通じゃない!?人間はぼくらの声を理解できないからいつもびっくりさせて終わりなんだよ!?でも君、聞こえてるじゃーん!え、なにそれすごい!魔法!?特技!?スキル!?」


「え、スキルって……『マルチリンガル』のことか?」


急に澪の言葉を思い出す。

——

「言葉や文字がわかるって……戦場じゃなくても、きっと役に立つ場面はあるはずです!もしかしたら魔物の言葉も理解出来たりするのかもしれない」

——

(もしかして……)


「なにそれ!?すごーーーい!ぼくスラン!スランっていうんだ!」


スライム――いや、スランと名乗ったそれは、まるで子供のように元気いっぱい。

ぷるぷると身体を震わせながら、まるで初めて友達ができたかのようにはしゃいでいた。


「……お、おう、俺は進藤旺真。高校生……って言っても通じないか」


「しんどーおーま!オウマ、ね!」


スランはぴょんぴょん飛び跳ねながら、ぐるぐると旺真の周りを回り始める。


「すごいすごい!人間と話せるなんて!こんなこと初めてー!」


(すげぇ……異世界って、こういうことあるんだな)


出会ったばかりの魔物が、襲ってくるどころか、こんなにも陽気で、人懐っこくて――。

それだけで、旺真の胸の奥に溜まっていた不安や孤独が、少しずつ和らいでいく。


「ピンポンパンポーン」


聞き馴染みのある電子音が頭に中で鳴る。

そして、頭の中に電子音混じりの機械的な声が響く。


《スキル:マルチリンガル》

条件「魔物と会話する」を達成しました

新たな効果を習得します


効果:「魔物からの好感度上昇率アップ」


「……え?」


旺真は立ち止まり、ぽかんと空を見上げた。


(いま……頭の中で……声が……?)


まるでゲームのシステムメッセージのような通知。それは確かに彼の意識の中で、はっきりと告げていた。


「スキルに……追加効果?」


「どうしたのー?おうま?」


スランが不思議そうに、ぷるぷると首をかしげながらこちらを見る。


「あ、いや、なんでも……ない、かも」


(なんだこれ……魔物と話すと、スキルが成長する……?)


旺真はまだその意味を完全には理解できていなかった。

だが――その時から彼のスキル《マルチリンガル》は、ただの”会話スキル”ではなく、魔物と心を通わせ、友を得る力へと進化し始めていた。


ここまで読んで頂きありがとうございます。


スキル:マルチリンガルの能力は全言語理解なので、魔物の言葉も理解出来る旺真


これから魔物と言葉を交わしていき、仲良くなっていく。


旺真の冒険は今まさに始まった。


続きを楽しみにしてくださると幸いです。

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