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第七話 魔物

お久しぶりです

「よっし! 南に向かうぞ!」

と私が大声で宣言する。隣で雪が

「やっぱり伝説の剣目当て?」

と私に聞いてきた。

「勿論!」

「ねぇ、もしかしてそれって……俺のため?」

と雪が顔を曇らせて言った。

「う〜ん、ちょっと違うかな、、、私ね、もし伝説の剣とかあったら見てみたいの! 現実世界では私一人ぼっちだったからずっと本読んでてその影響かな……?」

「そっか……」

と雪が残念そうに言った。いつもと様子の違う雪にユメが

「雪さん、大丈夫ですか? どこか具合が悪いですか?」

「あ、いや、そういう訳じゃないんだよね……」

と理由も曖昧にはぐらかされた。取り敢えず私はユメを心配させないように、

「よし! このまま南に向かうよ!」

と、再び二人に向かって言った。



南に向かう途中。

「あのぅ……アイさん。あたりが暗くなってきましたよ。ここらで今日は泊まりませんか?」

「そうだね」

というと私達は自分のストレージを操作して、テントやランタンを取り出す。嬉しいことにこの世界ではストレージでアイテムを選択するだけで、テントは簡単に組み立てることができる。

「アイさん、ここって夜魔物とかって出るんですかね?」

「あぁ〜、確かに店主さん言ってたね。一応警戒するかー」

と、私は野営を建てたあたりを見渡す。だが、何かがいるような気配はしない。

「そういえば食料ありませんね、どうしますか?」

「う〜ん、、、魔物狩りに行く?」

と私が提案すると

「駄目だ」

と今まで一言も発していなかった雪が鋭い目で睨んできた。3人で過ごすようになってからこんなことは一度も無かったので、ふたりとも雪の視線に驚く。

「取り敢えず今日は寝よう」

と言って私達はテントに入った。


その夜

私は夜中に目が覚めてしまった。あたりを見るとまだ、日は昇っておらず暗かった。そんななか、一緒に寝ていた雪の姿がないことに気がつく。

「雪がいない……」

私はポツリと呟く。もしかしたら外にいるかもしれない。そう思ってテントからゆっくり出てみた。

外に出ると、1人で魔物と戦っている雪の姿があった。

「ゆきっ!」

私が駆け寄ろうとした。

「来るな!」

雪がいつもより強い口調で言う。だが、そんな雪も肩で息をしているし、装備がボロボロだ。魔物のHPバーからするにまだ、三分の一も減っていない。魔物が最後の決め手だとでも言うように目を光らせた。このままでは雪がしんでしまう。そう肌で感じた。そこからは考えるよりも動いた。本当は頑張って勉強していた魔法を使いたかったが、失敗してしまったら怖いし、万が一雪にあたってしまったときが怖い。私は雪に向かって走ると、雪に持つ剣を奪い取った。

「なっ……!」

雪の剣は男用のものだからかなり重い。それに、大きく違うのは魔力の波。杖は私の魔力で満ちているが、剣は雪のだ。雪の魔力で満ちているため、私が握ると魔力の反発が強い。それでもやるしかない。雪を守るために。無茶だけど、無理だけど、それでも―――。

「アイ、やめろっ!」

そんな雪の声も無視をする。なんでもいい、剣が壊れてもいい、雪が守れればいい―――。出会って数十日しか経っていないのにそう、強く思った。

魔物の腕と、私の持つ剣の刃がぶつかる。

私は最後にありったけの魔力を込めて叫んだ。








「雪からッ 離れろッ!」









思わぬ爆風に全身の体と皮膚と、髪の毛が痛いと叫んでいる。それでも、そのかいあってか、魔物のHPバーは一気にゼロまで下がり剣が壊れた音と同時に魔物が消滅した。

「雪ッ!」

私が後ろを振り返ると、草の上に倒れた雪の姿が目に写った。

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