僕の名は、
「君の名は。」という、アニメ映画を知っているだろうか。東京に住む瀧と超田舎、糸守町に住む三葉の「入れ替わり」をテーマにした作品である。「君の名は。Another Side:Earthbound」では、映画上では語られていない、テッシー、四葉、そして宮水俊樹が掘り下げられている。
僕は君の名はが大好きでこれまで何週もしている。そんな中たまたま学校の図書館で本作を見つけた。
交錯する主人公と周りの人間。突然だが考えたことがあるだろうか、自分が全く知らない土地に飛ばされ、異性になったら。しかも多感な思春期に。僕が女子になったら混乱しまくって混沌と化してしまうだろう。上手く切り抜けられた瀧は本当に凄いなと感じた。
また、映画上ではほとんど語られていなかった、三葉の亡き母親「宮水二葉」と父親「宮水俊樹」の関係がとても詳しく描かれており、何故俊樹は町長になったかを知れて納得がいった。大切な人を失った悲しみは大きい。
周囲がだんだん死を受け入れ、日常に戻っていくのがとてつもなく怖い。なんでそうなった。これは神のお告げ。そんなもので納得できるか。こんな町を変えてやる。汚い手を使ってでも。俊樹が何故町長になったのか。最初は悪だと思っていた。こんな裏話があるなんて知らなかった。それでも俊樹のしたことに納得がいかない自分がいた。三葉に厳しくしすぎではないだろうか、裏金など使わなくても街の復興は行えたのではないだろうか。しかし、俊樹は自分についていかない三葉と四葉を切り離し、縁を切った。それに俊樹は
焦っていた。即急にこの町を変えたかった。神に殺された二葉のために。
俊樹の行動は仕方なかったかもしれない。でも僕は少し二葉に依存しすぎて周りが見えていないではないかと思えた。本当に大切なのは、娘の三葉と四葉なのでは、と。このシーンがとても考えさせられ、印象に残った。
第一印象でその人への想いは決まるといわれているが、もしかしたら外側だけからはわからない、例えば俊樹のように。
「君の名は。」は人の弱い部分、繊細な部分、そして人の本質を解いているかのように僕は思えた。決して第一印象だけでは伝わらないこと。例えば三葉の周りに潰されてしまった本来の性格。例えば間違ってしまった俊樹の家族愛。そのようなことがこの作品を読んで気づいたことである。僕は瀧や三葉のように積極的に動けることはできないけど、行動に移せないけど、「動けること」を考えてみようと思った。実行しないのと実行したいは天と地の差があるだろう。難しいかもしれないが。そして、積極的に感化されるように、どこの誰とも知れない人を助ける。僕がこの本を読んで思ったこと。もしかしたら作者が伝えたかったことかもしれない。でもそれは人によって違うと思う。人それぞれ作者は何を言いたかったのか違うだろうから。
「君の名は。」は登場人物がとても繊細に描かれ、同情でき、とても美しい世界観に没入できる作品である。なので、まだ映画を見たことない人は是非見て頂きたい。そして、見たけど本作は読んでないという方は是非読んで頂きたい。三葉の体になってしまった瀧の異常行動が映画よりわかりやすく描かれている。泣きたい人、現実に潜むファンタジーが好き人へのおススメである。