技(スキル)の名前は何ですか?
カッコイイ技の名前を言い合うのは、ごっこ遊びの定番でした。「阿耨多羅三藐三菩提」「おんたたぎゃとどはんばやそわか」という呪文も覚えました。間違っても「トリモチ作戦発動!」とは言いませんでした。
動画作品とは違うので、小説で何かの技を繰り出すときには「技名」を発音するなど、変わった表現をすることが多い。相手にわかるように技を掛けるのは基本的にはおかしいから。フレンドリーファイアーを予防するとか理由を付ける作品もある。中には効果音だけで表現する作品もある。「キンキンキンキンキンキンキンキンキンキン」とか(キンが多いのは強い相手らしい)。酷評されたなあ。
小説では技名をアルファベットで表す事は少なく、カタカナひらがな漢字をつかった日本語が主流。元は中国語由来の漢字表現だと意味はわかりやすい。「赤熱剣」とか「咆吼拳」とか。流行で変わるのか、英語に始まり仏語や独語や伊語に露語も利用されている。全部入りの小説も増えた。翻訳アプリのおかげかも。でもカッコイイ技名は、長さでもインフレが進む。しかし単に「ファイヤー・ボム」だと雑魚相手にしか通用しない雰囲気がある。凄い鳳凰のような形の炎の極大攻撃だと思ったら「これは〇ラだ」という表現もある。日常では使わない大和言葉を探し出したり、存在しないけれどそれっぽい造語を作り出す作家もいる。
まだ研究や工夫の余地ありといったところ。
動画なら、それっぽい動作を見せて効果の光と音を入れると技に見える。それっぽく言葉で表現するには、読んだ人に通じるものにならないと。最初の効果音だけの「キンキンキンキンキンキン」も工夫だろうが、この字面では単調すぎる。手抜き感だけ強く、何かの象徴的な表現でもないし様式美もない。観客に「派手な打ち合いの場面」というお約束が伝わる歌舞伎舞台とは違うのだ。お約束という節約表現があるのはは強み。
最近はゲームのスキルコマンド同様に、技のコンボが設定された作品もある。正直技の連呼だけでも飽きるのだが、コンボや上乗せ効果まで上手く伝わるのだろうか。技名連呼だと長くなりすぎるとは言え、短縮して「上上下下左右左右(打撃効果50%up)」という表現になるのもなあ。ますますわからん。
次々と技を繰り出す描写が苦手な人は、戦闘がいらない作品で勝負しましょう。
普段技名を言わないウルトラマンメビウスにウルトラマンタロウが客演する回を見ていたら、技を出すときに技名を叫んでいた。ウルトラマンZにウルトラマンAが客演する回もAは技名を叫んでいた。あれは突然現れた別のウルトラマンを知らない子ども向けの必要な演出だったのかなあ。