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幕間 その30 異世界言語
これは幕間の休憩時間の楽屋噺。
異世界の言語とは、本来は異世界の数だけあるはずのもの。しかし、それをそのまま記しても、誰もわからぬ言語は誰にも読めぬ。そこで用意したるは凄腕の翻訳家。彼にかかればどんな言語も理解可能な言語へと置き換わる。流石は凄腕の翻訳家、その言語は一つに留まらず、主たる言語から派生した次なる言語を投影し、異世界言語を見える姿に映し出す。かくして、異世界に存在しえぬ借り物の言語から、それは見事に綴られる。願わくば、何人も翻訳家の素性を探ることなかれ、素性を探ることなかれ。




