幕間 その19 まどぎわのカエル
あるところの 山のちかくの 病院に ひとりの 女の子が いました
女の子の 名前は クロナ
クロナは 病院から 出たことが ありません
でも さびしく ありません
クロナは 毎日三時に お茶会を 開きます
毎日三時の お茶会に クロナの 友だちが あつまります
車いすを 自分でうごかして やってくる
女の子の 名前は ウィラ
ウィラは 本が大好きで とても色んなことを 知っています
すごいはやさで 走って やってくる
女の子の 名前は ポルピ
ポルピは とても元気いっぱいで いつも病院の人に おこられます
さあ 三人があつまって 楽しい お茶会の はじまりです
よく日のあたる まどぎわのテーブルに 毎日三時に 三人はあつまって
食器をならべて 楽しい お茶会を 開きます
ウィラは とってももの知りで 外のせかいの おしゃべりを はじめます
ポルピは 甘いものが大好きで おかしを とってもよく食べます
クロナは このお茶会が とっても楽しいです
次の日も その次の日も 楽しい お茶会は つづきます
ある雨上がりの日 いつものように 三時に 三人はあつまって
おかしを広げて 楽しい お茶会を 開きます
クロナは まどの 向こうがわに カエルを みつけます
ウィラは カエルに きょうみをもって よくかんさつします
ポルピは まどに かおを近づけて カエルを よんでみます
カエルは まどわくのでっぱりに でんとすわって 動きません
今日から 三人と一匹の 楽しい お茶会の 始まりです
次の日も その次の日も うれしい お茶会は つづきます
次の日も その次の日も まどの 向こうがわに カエルは すわっています
ある日 いつものように 三時に 三人と一匹はあつまって
お茶をそそいで 楽しい お茶会を 開きます
ポルピは お茶会の さいごに いいます
「明日から もっと大きな病院に 行くことになったんだ」
ウィラは いちばん 大好きな本を プレゼントします
クロナは とっても さびしいです
カエルは まどわくのでっぱりに でんとすわって 動きません
明日から 二人と一匹の お茶会の 始まりです
次の日も その次の日も お茶会は つづきます
ある日 まどぎわのテーブルに 三時に ウィラのお母さんが やってきました
ウィラのお母さんは お茶会の さいしょに いいます
「あの子は もう お部屋から 出られないの」
クロナは とっても かなしいです
カエルは まどわくのでっぱりに でんとすわって 動きません
今日から 一人と一匹の お茶会の 始まりです
次の日も その次の日も お茶会は つづきます
ある日 病院に とてもつよい嵐が やってきました
次の日 嵐といっしょに カエルも いなくなりました
今日から ひとりの さびしい お茶会の 始まりです
次の日も その次の日も かなしい お茶会は つづきます
次の日も その次の日も まどの 向こうがわに カエルは いません
ある日 いつものように 三時に クロナは
食器をならべて おかしを広げて お茶をそそいで お茶会を 開きます
クロナは まどの 向こうがわに カエルを みつけます
カエルは どろまみれで きずをおっていましたが 大きくのどを ふくらませて なきます
今日から 一人と一匹の お茶会の 始まりです
次の日も その次の日も お茶会は つづきます




