幕間 その10 小人族ノックフット
ノックフットとは、成人しても身長が1メートルにも満たない小人族である。丸みを帯びた体つきで、身長に対して少し短めの手足を持つ。運動能力は高くないが、その小さな手での精密作業には卓越している。知性に優れ、独自の芸術的感覚を持ち、特に細かい彫金細工や木工品の制作などを得意としている。彼らの村々では、装飾が施された建物や繊細なデザインの家具が当たり前のように並び、その美意識の高さがうかがえる。
ノックフットたちは豚肉とエール、そして甘い物を何よりも好む。年齢を重ねるにつれてふっくらとした肥満体になり、手を動かすにも腕を組むにも一苦労するようになるが、それでも表情は穏やかで愛嬌に満ちている。宴の席では、丸いテーブルの周りに集まり、エールを飲みながら豚肉料理を囲み、賑やかに語らい合う。
そんな彼らは、感情表現がとても豊かであり、感謝や喜びなどの気持ちを「足を踏み鳴らす」という独特の方法で示す。これが彼らにとって、人間の拍手に相当する行為である。喜びのあまり集団で同じステップを踏みながら盛り上がる様子は、遠くからでも伝わってくるほどの熱気に満ちている。こうして、様々な感情をステップで表現することから「ノックフット」と呼ばれるようになった。




