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勇者様は裏切らナイ  作者: 世葉
第一幕 約束の指輪
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幕間 その9 解読依頼

 オレンの家から戻ったルーナは、その足で「メティスの大盾」メンバーと会議をしている。

「…ということで、あの少年から『白鳥のくちばしにある、神秘なメタリシス、植物金属ハーペリア』という情報を、私が、苦労して、得ることに成功しました! はいそこ、遠慮せず褒めていいのよ? オホホホ。」

 ミーヤとの一件の直後のせいか、あるいは元からそうなのか、激しく耳を振りながらよくわからないテンションを見せるルーナ。

「「……。」」 二人は黙る。

「凄いです、ルーナさん。」 ヒナは褒める。

「ありがとね、ヒナちゃん。はい! では、この情報の意味が分かる人!」

「「「……。」」」 三人は黙る。

「え~。誰もわかんないの? まぁ、私もわかんないけれども…。なんか言いなさいよ、陸奥。」

「…。ふ〜ん、弱りましたね。皆目見当がつきません。」

「言葉通りに見るのなら、くちばしがハーペリアという名の植物金属で出来ている白鳥がいる? ということでしょうか?」

「そうだとしても、どうやって探せと。情報が少なすぎる。」

「……。」 ヒナは膝の上で丸くなっているピアを優しく撫でている。

「「「ふ~~~~ん。」」」 四人はしばらく考え込む。

「どうでしょう。このまま考えても進展がなさそうですので、ここは「コハクフクロウ」の皆さんに助力を求めては?」

 陸奥は、沈黙を破り提案する。しかし、ルーナはその提案に対し不快感で応える。

「え~~! 私は嫌よ、あそこに行くの。そうだ! 男子二人で行ってらっさい。そうそう、丁度いいわよ、フクロウのメンバーと合わせて、男女で三対三になって。ねぇ、ヒナちゃん。」

 ルーナは耳を下げながら、異常なほど拒否する意志を示した。

「あのなぁ……。」 ブラッドは頭を掻きながらルーナに呆れる。

「まあまあ…、そうですね。今回はルーナさんのお手柄ですので、この先は私達が頑張らないと。」

 と、陸奥はブラッドを宥める。ルーナからは(そうだ! そうだ!)という声が聞こえそうな意志が伝わる。

「では、今日はもう遅いので、明日。朝一でフクロウの皆さんの所に向かいましょう。流石に只で、という訳にもいきませんから、何かお土産を用意しませんと。」

 陸奥は気配りを見せる、フクロウに対しても、仲間に対しても。

「ああ、そうだな…。まぁ、そういったことはお前に任せる。」

「そうですね、では私が、彼らの好みに合う様な甘いお酒などを見繕っておきます。それでは明日。」

 妥当な落としどころを見つけて、会議は終る。その頃にはピアはいつの間にか、ヒナの膝の上でお腹を出して寝ていた。

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