敵か味方かデビルさん−7
「さっきウチを生け贄にしようとした罰や
存分に触ってもらい」
咲は途中から気づいていた
かわい子ちゃんといえば1人しかいないという先入観で、始めはデビルさんの狙いがチェリーだと思っていた
そう思って当然である
だが、カナタから気絶したままのチェリーを受け取ってから、デビルさんの目線は一度もこっちに向いていない
ー変態ー
チェリーの言った言葉が脳裏をよぎる
…もう1人おったわ
かわい子ちゃん
確信めいた予感と、万が一の時には自分の身を盾にしてでも守るという、自己犠牲という名の責任感
そして、17年間、浪速で培ってきた面白根性が咲を動かした
「チェリーちゃんには、黙っといたるから」
「のぉぉぉぉぉぉ」
デビルさんに顔をこねくり回されているカナタの絶叫が響き渡る中、咲は考える
…そろそろ帰ろか
今日も何処かでデビルさん
今日も何処かでデビルーさーん
「なー、なんか忘れてへん?」
「俺はお前の仕打ちを一生忘れない」
「ねー、何があったのよー」
日本中を騒がせた一連の切り裂きジャック事件にもようやく決着が付き、街灯の灯る帰り道を歩く3人
アディダス!
そう言い放って帰って行ったデビルさんの記憶は、忘却の隅っこの方にまだ残っている
アディオスなんだろうな…
“またね”、の意味を含めた、“さよなら”、を思い出しながら、いつか何処かで出会ってしまうような気がしたカナタ
ムフームフーと鼻息荒くした悪魔の顔を思い出してしまい、自らの記憶の殲滅に取り掛かるのであった
第一話 完
「あっ!そうや
中の人、ほったらかしや」