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デビルさん  作者: おかき
第一話
19/83

霧崎弱男−5


「ふーん

 一口に大学って言っても、いろんなトコあって、迷っちゃうよね」


「まーな

 でもどうせ選ぶんなら、大学の名前で選ぶんじゃなくて、先生とか、教えてくれる内容とか知った上で決めたいよな」


 ふらふらと校舎の中を歩き、高校とは違った雰囲気の講義室や、やけに大人に見える大学生を見ながら、チェリーとカナタは話していた


「咲ちゃんはいいよねー

 もうこの大学でテコンドーやること決まってるんだし」


「スポーツで入るってのも大変だぞ

 怪我とか出来ないし、なにより強くなきゃだし

 ま、強くってのは、アイツには関係ないか」


 アメフト部と柔道部が競って2人を追い越していく


「チェリーは大学とか考えてるのか?」

 生まれた時から小中高校と一緒

 いつも隣にいるため、離れることなど考えたことはなかった

 しかし、いつまでも子供でいられるわけじゃない事もわかっている

 チェリーの頭ならば、カナタの行ける大学より、ワンランク上の大学も狙えるから

 違う大学に行ったからといって、2人の関係が変わるとも思えないが、なんとなく今まで避けていた話題だった


「んー、まだ

 ケーキ屋さんになるには、どこの大学に行くのがいいのかわかんないし」


「それ本気だったの?」


「半分はねー

 でも、カナにしか言わないけど、留学するとか、外語大に行くとか、外国語の勉強もしてみたい

 翻訳のお仕事には、ずっと興味があるから」


「チェリー…」

 2人にしかわからない空気が流れた

 それは決して重苦しい空気ではなく、どこか懐かしい空気


 カナタは次の言葉を見つけられず、前を歩くチェリーは、今、どんな顔をしているのかを想像する



 ピロン♪

 2人の携帯が同時に鳴った


「あっ、咲ちゃん終わったって

 正門集合ー」


「集合て…

 アイツ1人で戻って来れると思う?」

 2人はすでにキャンパス中央、正門が見えている場所に居たのだが、カナタは、集合をかけた人物の能力に疑問を投げかけた


「うー、難しいかも

 咲ちゃん、おトイレに行く時、毎日教室出てから逆の方向に1回行って“しまった!”みたいな顔してるもん」

 自分では決してバレていないと思っている事でも、大概、周りの優しさで隠されているものだったりする


「迎えに行くか」

 この時、すでに咲は迷い始めていたのだが、2人は知る由もない




「きゃー

 助けてー」

 途中で会えると思っていたが、結局体育館の入り口にまで着いてしまった2人の耳に、かすかに聞こえた叫び声


「アイツの声だ」

 声がしたのは体育館の外

 渡り廊下の非常口から外に出たカナタは、一瞬どっちに行けばいいか戸惑う


 チェリーは先に走り出した

「こっち

 男の人の声もした


 “助けて”って」

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