古武道 大豪院流合気道術−2
「クププ…アタシには見えたよ」
「そりゃ横から見てれば「咲ちゃんのイチゴちゃんパンツ、クププ」
「え?」
「!!」
口に指を当てニヤけるチェリーと、こいつ何言ってんだ?のカナタ
そしてスカートを押さえて、少し赤らむ咲
「しもた
スパッツ履いとるつもりで」
「かーわいー咲ちゃーん」
「脱線させるな
ゔほん
どうやったんだ?今の」
イチゴちゃんだろうが、リンゴちゃんだろうが一向に構わないカナタ
「ウチには簡単やねん
チェリーちゃん、そのまま座ってて
ウチがチェリーちゃんの鼻つまむから、つままれそうになったら避けてや」
「え?うん」
不思議なことを言われ、目をまん丸く開いているチェリー
「はれ?」
「なんで避けない?チェリー」
「ばがんないよぉー
いづのばにがづがばれでで」
横から見ていたにも関わらず、カナタにはわからなかった
咲が、ただ手を伸ばしただけ
それなのにチェリーが避けようともせず、咲に鼻をつままれている理由が
「ウチな、相当強いねん
ウチって言うか、大豪院流が
あと、タダでパンツ見たバツや」
チェリーの鼻を、ピンッと弾いて離した咲
「ひたいよぉ、咲ちゃん
でも手品みたいだった
つかまれるまで気づかなかったもん」
鼻を押さえ、少し涙目のチェリーが言う
「わかりやすく言うなら、手品は一番近いかもな
ウチの流派は基本、合気やねんけど、合気ってわかる?」
「相手の力を利用して、投げちゃうやつだろ?」
「それも合気
ただ、それには、相手が何をしようとしてるかわからんとでけへんやろ
右手に力が入ってるんか、左足に重心があるんか
今、息は、吸ってるんか、吐いてるんか
次の瞬きはいつするんか」
「そんなのわかれば超能力じゃん」
「なんとなくでええねん
ただ、それを突き詰めていけば、さっきみたいに相手の意識の外から入り込めんねん」
「すごーい」
「今のでわかったのか?」
「咲ちゃんがなんか凄いってことだけわかった」
「でも、本当に凄いな
俺も習おうかな」
なんだか目がキラキラしている2人
「まぁ、道場来ても、普通の護身のための合気道しか教われへんで
ウチが今言ったみたいなことは、ウチら兄妹、小さい時から刷り込まれてんねん」
それから咲が語った咲自身の半生は、聞いている2人に驚愕と戦慄を与える
・陣取り鬼(鬼ごっこ)で捕まったことがない
・ドッチボールでアウトになったことがない
・サンタクロースの浸入を許したことがない
・あっち向いてホイでの無敵感
・etc…
「物心つく前から、遊びのつもりで道場にいてな
いつの間にか、こんなんができる様になってもうてん
全部あのアホジジイのせいや」