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元軍人の俺は最強のFPS系配信者として再び戦場で無双する  作者: ゆずけんてぃ
伝説の始まり
5/59

チートプレイヤー

ここから二話ほど猫宮さん視点で話が進みます。

他人目線でやった方がキャラを掘り下げやすい事に気付いてしまった……


約20m程離れた二人の敵のやや前方に目掛けてグレネードを投げる。

直接当てる必要はない。あくまで目的はかく乱だ。

マシンガンを構えて照準を合わせる。

「グレ撒いて、はい一斉放射!」


爆風によって相手の視界が塞がれている内に一気に連射してキルを取ろうとするが……

「……あ、やばいにゃ」

向こうは上手い事無数の銃弾を避けつつ迂回してこちらへと走ってくる。


このグレネード戦法はペアマッチじゃ常套手段になる位優秀な戦術だけど……

それ故に上級者レベルになるとさすがに通じなくなってくるんだ。


大きく深呼吸を行う。


いや落ち着け私、まだ慌てるような時間じゃ無い。


今ので向こうの体力削れてるしこのまま撃ち合えばこっちに軍配が……って弾切れてんじゃん!

ヤバいヤバい。急いでリロード……あー待って敵もう来てる来てる来てる。


目まぐるしく変わる戦況にたまらず思考が揺ら着く。

FPSでは数秒の迷いが命取り。このままじゃ……!



「大丈夫。残りは俺がやっておきます」


淡々とした渋い声と共に発砲音が二つ、フィールド内に重く響く。

私の背後から放たれた二発の弾丸はそのまま敵二人の胸部に着弾する。



「……ありがとう」

「いえいえ、猫宮さんが細かく敵の注意を引き付けてくれてたからですよ」


そう言ってkakitaさんは素早く場に落ちている物資を漁る。

それが終わったかと思えばすぐさま残りの敵が潜んでいそうな場所へ歩き出した。


私は急いで弾の再装填を終えて彼の後を追う。




……何なのこの人、単に上手いとかそういうレベルじゃない。

最小限の動作で最大限の成果を生み出すプレイはまさに神業。


それを可能にしているのは恐るべき判断の速さ。


彼の動きには私と違って無駄と迷いが微塵も無いんだ。

加えて射線管理や立ち位置調整、エイムも極めて精密。


思わず反射的に口から飛び出てしまった。


「こんなんチートじゃん……」


「え?チート!?何かありました!?」


kakitaさんの声で目を覚まし、慌てて訂正に入る。

「……あっご、ごめんにゃさい!何でもにゃいです!」

「そ、そう…ですか」



危ない危ない……ペアを不用意にチーター扱いなんてしたら炎上しちゃうよ。

ただでさえ配信業界は発言に気を付けなきゃいけないんだから……


一応気にしている人が居ないかどうか横目でコメント欄を確認してみる。


【あぶねー!】

【今のはkakitaさんに助けられたな】

【チート!?】

【kakitaって人ヤバいな。プロ並み】

【今猫宮で視線塞がれてたのにピンポイントで当てるとか神か?】

【チートw言いたくなる気持ちは分かる】

【kakitaさんこれ一週間どころか数年レベルの熟練プレイヤーだろ】


ああ、うん……大丈夫そう。


約4万人の視聴者たちは、私の発言なんかよりkakitaさんのプレイに夢中みたいだ。


安心したと同時に胸中でメラメラと嫉妬の炎が燃え上がっていく。


私の配信見に来てくれてる筈なのに皆kakitaさんのことばっか。

くそぉ……私のファンなのに。くやしい。



ていうかそうだよね?やっぱ熟練プレイヤーだよねこの人。

だって……動きが完全に経験者のそれだもん。


私がネコを始めて、アルティメットに来るまでかかった期間は三か月だけど

FPSというジャンル自体には3年前の18歳時点で触れていた。


従って総合経験値で換算するなら3年と三か月なのだ。



だと言うのに……これで一週間なんてありえない。あっていい筈がない。

それが本当なら私泣くよ?マジで。





「ほいっと、じゃあ私ここに罠仕掛けときますね」

「助かります」


フィールド中心部に地雷を仕掛けつつ、敵の襲来を待ち受ける。

kakitaさんの活躍もあってあっという間に残り1ペア倒せば勝てる所まで来てしまった。



まぁ色々言ったけど、味方だと何よりも頼りになる人だ。

何処を取っても弱点なんて見つからない位に完璧なプレイング。


この人を倒せるのなんてそれこそチーターぐらいしか……

「はい、お疲れ様でーす」



「……え?」



この甲高い男の声……誰?。

慌てて背後を振り向くと、髑髏の面を被った二人組がこちらに向かって発砲して来ていた。



「猫宮さん!!避けて!!」

「っ……!」


理屈ではなく反射、慌てて回避モーションを取る。

呼びかけるのと同時にkakitaさんは一歩引いて既に奴らと距離を取っていた。



「あっぶな……!」

数発の銃弾が足元を掠めるが胸や頭じゃなければ当然致命傷にはならない。

私も素早く銃を構えて迎撃を……!




「……え?猫宮さん?」

少し遠くの方からkakitaさんの愕然とした声が聞こえた。




……あれ?


〈You Are Dead! 〉


浮かび上がる無慈悲なメッセージ。

見れば分かるだろう。プレイヤーにゲームオーバーを告げる一言だ。


瞬く間に私のアバターがゆっくりと地面に伏せて倒れる。



「嘘……なんで私死んでるの?」

状況を捉えられないままマイクに向かって呆然と囁く。



たちまち腹立たしい程下品な笑い声が響き渡る。


「ぎゃははははははは!!避けれたと思った?なぁ、生き残れたと思った?」

「間抜け過ぎんだろ!あーヤバい兄ちゃん、俺笑いすぎて腹痛くなってきた」




おかしい。意味が分からない。


だって、死ぬ筈が無いんだ。足へのダメージ程度で。


元の体力だって十二分に余ってたんだ。死ぬ要素なんてどこにも……




……いや待てよ?




私は改めて画面上に映る敵の姿をまじまじと見つめる。


この声……それに髑髏顔の二人組…………こいつら、まさか。



誰かの配信の切り抜きで見たことがある。

平然とゴースティングを行い、倒した後はマナー違反の死体撃ちまで行う害悪プレイヤー。


おまけにチートを使って武器のダメージ値を弄っている為真っ向から挑んでも勝ち目がない。




納得した、だから足を掠めただけでもやられたのか。


私は語気に精一杯の怒りを含めて問う。



「貴方たち、最近界隈で話題になってる……確か、スカルブラザーズとか言うんだっけ?」


対して男たちは心底楽しそうに答えるのだった。



「はーい!!大正解です!!俺達スカルブラザーズ!」


「今回は超人気Vtuber、猫宮又旅ちゃんの配信を荒らしに来たぜぇ!」

評価やブックマークをして頂けると大変励みになります。


お誂え向きと言わんばかりの敵キャラを出しましたが勿論この後主人公による制裁があるのでご安心ください。


〈今後の投稿ペースについて〉

一先ず一日一話投稿を原則にしていこうと思います。

基本お昼付近に一話、調子が良ければ夜頃にもう一話って感じかなぁ……


僕自身の都合で予定が崩れる可能性も大きくありますのでその点はご了承ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] ボイスチャットで、ワールドオープンって珍しくね? 人数少ないゲームなのか? 二人組が5組で1ゲームとか。
[気になる点] チートに対して、最強の元軍人がどう立ち回るのか [一言] うへぇ、ここで区切るか。次回が気になる。
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