表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/59

最大の武器

補足しておくと弱点って言い方に特別悪意を込めたつもりは無い。

ただ、勝利を貪欲に狙おうとするのならまず間違いなく無視できない存在。

やっぱり、この大会の中じゃ群を抜いて経験と技量の不足具合が目立つからね。


最も彼女はあっという間にビギナー帯を抜け、その先のエキスパート帯の中でも既に上位に位置している。

初めて一か月かそこらと言う点を踏まえれば目覚ましい成長速度であることは間違いない。

もう一年……いや半年でも大会の開催が遅かったら、きっと私達には僅かな勝ちの目すら存在しなかっただろう。



その事実に確かな不甲斐なさを感じつつ、私は桐原さんのインタビューに耳を傾けた。


「えっと……私、まだまだ出来ない事ばっかりだけど……少しでも練習の成果が出せるよう頑張りたいと思います」


気弱な声ながらも確かにその言葉には強い覚悟が秘められている。


必死に受け答えを行う姿を見た私の中には親心の様な感情が芽生えつつあった。

本当にこの子はこの子でどこまでも健気だ。

何でも半ば無理やり参加させられたらしいのに……それでも桐原さんは不平不満の一つも漏らさない。



これから率先して彼女を狙っていく算段なだけに、少しばかり胸が痛む。


……可哀想だけど仕方ない。手早く2vs1の状況でkakitaさんを潰すには必須の行為なのだから。

数の暴力で追い詰める事が出来れば勝利は手堅い。

いくらkakitaさんと言えども私と又旅の二人でなら8割程の確率でこちらに軍配が上がるだろう。



……裏を返せば、それだけ有利な状況を作れても尚負ける可能性が20%は存在しているんだ。



本当に、彼の対策について考えるだけで胃が痛くなってくる。


結局どれだけ頭を働かせようが100%勝てる作戦なんて思いつきもしなかった。

そもそも最初から存在してるかどうかすら疑わしい。



私達も大概だって自負してるけど……やっぱりkakitaさんは格別なまでに化け物だ。





「はぁ~今日も可愛い上に偉いにゃあ……茜ちゃんは」



私があれこれ思案を重ねる中で、相方はすっかり桐原さんに骨抜きにされていた。

kakitaさんの事もあって彼女に嫉妬しそうだとも思ってたけど……実際の結論は斜め上。


配信を追ってく中で又旅はあっけなくファンになったのだ。いくら何でもチョロすぎない?



いや、ただ好きなだけなら全然いいんだけど……真面目に彼氏の存在を危惧していた時はさすがに引いてしまった。

すっかりファンどころかガチ恋勢の仲間入りである。



……杞憂だとは分かってるけど、一応釘は刺しておこうか。


「又旅。ニューウィークの二人が好きなのは分かるけど……本番で手加減とかしないでよね?」


「そ、それだけはしにゃいよ!絶対しにゃい!」


私の邪推を即座に否定する又旅。


「確かにあの二人は好きだけど……だからって手加減するのは一番失礼だもん!それ位は私でも分かるよ!」


もう一緒にvtuber活動を始めて二年が経つ。

さすがにそれだけの期間があれば、同僚の性格位は多少なり把握できていた。

又旅は何に対しても真摯に向き合う性格だ。

曲がったことが大嫌いで、どこまでも正々堂々を貫く事に固執する。


故に効率重視のプレイに難色を示す可能性があったけど……きちんと折り合いを付けられているようだ。

私はその答えに強い安心感を覚える。



「ごめんね。あんたの性格上どうしてもって考えちゃってさ」



「ふーんだ。言われなくてもちゃんと私は確実にやるつもりだもん!アリスちゃんが本番でダメダメになっても勝てるようにね!」



「……へー、上等じゃん。又旅の方こそ幾らでもミスっていいよ?全部私がカバーしてあげるから」




軽口を叩きあった後、同時に不敵な笑みを浮かべた。




今となってはお家芸と化した煽り合い。

一歩ラインを超えれば視聴者に不仲と思われかねない行動だが……又旅となら今更そんな心配はいらないだろう。





悠々と成功街道を歩いていると思われがちな私達だが、当然あっさりとここまで登り詰めた訳じゃない。

vtuberは今や星の数ほど存在している。

最近ではメディア露出も続々と増えてきている為、比較的世間の認知度は高い方だと言っていい。



が、活動初期の頃は極めてマイナーな存在であった為何かと不遇な立ち位置だったのだ。

異端な存在には容赦なく冷ややかな視線が浴びせられる。



伸びない登録者数に思い悩む時期も幾度となくあった。

冷酷な誹謗中傷紛いのコメントに心が折れそうになる事だってあった。



それでも今私がここに立っていられるのは、周りで支えてくれた人達のお陰だろう。


その中でも特に大きいのはやはり同期である又旅の存在だ。


私達は常に肩を支え合って配信活動に臨んで来た。

嬉しい事も悲しい事も辛い事も……共に乗り越えてきたんだ。

私にとって又旅はもはや家族に等しい認識である。



近接戦と遠距離戦、互いの特技が見事に噛み合っているのが何よりの強み。ってのが専ら周りからの評価だけど……



個人的に、私達の最大の武器は一朝一夕では築くことの出来ない絆だと思っている。




……照れ臭いから、絶対本人の前では言わないけどね。

評価やブックマークをして頂けると大変励みになります。


感想で多数ざまぁ要素が未だに無いとご指摘を頂くのですが……本当に申し訳ございません。

成り上がりの過程に重きをおいて進めたいと考えていましたが……結果的に配信関連のイベントに比重が偏ってしまいました。

これに関しては明らかに私の進行配分のミスだと深く自負しております。


現在進めている大会編を終えてからは恋愛とざまぁ要素を本格的に始動していく予定です。


今まで遅らせてしまった分、相応の内容を提出しようと精一杯取り組ませていただくので

気長にお待ちいただけると非常に有難いです。



改めて不出来な作者で申し訳ございません。

これからも至らぬ点が多々あると思いますが、出来る限り改善していこうと努力させていただきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] そんなに謝らなくとも・・・こういう設定(元軍人)はなかなか無いので、他作品とかぶることもなさそうだし・・・気楽に書いていいと思いますけどね。 「ふもっふ」とかと被らなければいいんじゃないか…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ