表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/59

開会

バトルロイヤルの表記についてたくさんのご指摘を頂き誠にありがとうございました。

本作品ではロイヤル表式で進めさせていただきます。

【第一回 ネオコロシアム 企業対抗グランドペアマッチ 運営視点及び公式解説枠】

7分前に配信開始


113349人が視聴しています。




「……さーて、木咲(きさき)さん。もう21時を過ぎまして……とうとう始まりますよ」


「そうですねぇ。ここまで皆様に盛り上がっていただけるとは……開発者冥利に尽きますね」


「いや本当に凄くてですね…何とこの実況・解説枠には既に11万3000人以上の視聴者が来てますよ!」



マイクを前にしてでかでかと両腕を広げてスケールの大きさを表限する、無精ひげを生やした角刈りの男。


黒いスーツも相まって全身像からだけでもひしひしと威圧感を感じさせる。

道端で会ったら常人は思わず立ち退いてしまうだろう。


……と、一見カタギには見えない風貌だがこれでもれっきとした大会の公式関係者だ。



傍らでは眼鏡を掛けた温和な雰囲気を漂わせる七三ヘアの男性が、にこにこと柔らかい笑みを絶やさず浮かべている。


二人は合図として互いに一瞬視線を合わせた後、再度視聴者の方へと向き直って挨拶を行った。





「という訳で改めまして……第一回!公式主催ネオコロシアム、企業対抗グランドペアマッチの開会をここに宣言させていただきます!!実況は私、芸人のイノセント馬場(ばば)と……」


「プログラミング部門代表、木咲 帯人(きさき たいと)でお送りいたします!」






挨拶を終えると同時にスタッフによる万雷の拍手が実況席に鳴り響いた。

コメント欄の勢いは目視では追いきれない程にまで加速していく。


まだ本番が始まってないのにも関わらず既に張り裂けんばかりの盛況っぷりだ。


果たして試合が開始したら……はたまた優勝チームが決まる瞬間になったら……

一体この熱気は、どこまで燃え盛っていくのだろうか?


……想像すらおぼつかない。





【グランドペアマッチ本番!桐原さんと優勝目指す!!】10分前に配信開始


38210人が視聴しています。



「……とうとう始まったね。師匠」


「ああ……始まった」


俺と桐原さんは呆然と通話越しに呟く。

始まった、という単純な一言には様々な感情が詰められていた。

緊張、不安、期待……明暗入り混じった複雑な心境だ。


いの一番に察知したのは、以前までとの圧倒的なスケールの違い。



試合開始前にして俺の配信枠に集まる約4万人弱の視聴者達。

何ならピーク時は2倍以上にすらなりそうな勢いである。


今までも群を抜いて多かった同時接続者数だが……今回ばかりは文字通り桁違いと言えるな。



加えて大会の司会や解説を務める人物達も大舞台に相応しい豪華メンバーと来た。




まずは俺が日本を発つ前から芸能界の第一線を歩み続けてきた超人気芸人、イノセント馬場。


怖そうな見た目とは裏腹に、軽い調子で連発されるユーモア溢れる発言が老若男女問わずに受けている。


10年を経ても未だセンスは衰えておらず、様々なバラエティ番組のまとめ役も担う進行能力を買われて今大会の司会へと抜擢されたのだ。



更にその隣に座っているのは、敏腕プログラマーの木咲さん。

企画当初から開発に携わっていた彼は、正にネオコロシアムの育ての親とも言える存在だ。


彼の存在が無ければゲームそのものがまず成り立っていない。


つまりは、プレイヤーが最も感謝すべき御方という訳だな。

このゲームのお陰で人生を変えられた俺としても、胸を張ってありがとうございますと伝えたい相手の一人である。



ダメージ値や各武器性能の設定値を決めている木咲さんは当然ネコについては他の誰よりも知り尽くしている。

故に解説役としては適任と言えるだろう。


実況・解説の時点で全く抜かりの無い人員配置。

当然の事だが、公式様の本気具合がこれでもかって位に伺えて来るな。




刻一刻と試合開始までの時間は迫っていく。


……念の為彼女にも再度確認を取っておくとしようか。


「桐原さん。コンディションは万全かな?」


俺の問いに対して桐原さんは間髪入れずに胸を張って答えてくれた。


「うん!ちゃんと昨日は夜10時に寝たし、ご飯も朝昼晩で三食しっかり食べたよ!」

「よし!偉いぞ!」

「えへへ……」


しっかりと言質を取れた事によって、俺も安心出来る。


前に注意したオーバーワーク癖もきちんと治してきたようだ。

いざ本番になってフラフラ……なんてシャレにならない。

練習に精魂を全て使い果たしていたら本末転倒も良い所だからな。



まぁ、適切な食事や睡眠を摂るなんて当たり前と言えば当たり前なんだが……桐原さんの純粋な返事を聞くとついつい褒めてしまいたくなってくる。

以前電車に乗れただけでやたらと褒めちぎっていた宮園の気持ちが強く理解できた。



さて、後は進行を馬場さん達に任せて俺達は呼吸を整えて出番を待つ。

出番……即ち試合だな。



と言いたい所だが実は大会本戦参加者にはもう一つ役割がある。

試合を迎えるにつれての前段階、直前において視聴者の為に行う項目。



馬場さんは野太い声でそれの開始を告げた。




「では早速試合開始!…と行きたい所ですが……まずはその前に、参加者の皆様による決意表明を改めて聞かせていただきましょう!」




「桐原さん、インタビューの方は大丈夫そう?」


「が、頑張る……」



……彼女のその答えを肯定と解釈していいのかは分からなかった。

評価やブックマークをして頂けると大変励みになります。


次回は大会に参加する6チームのインタビューと言う名の説明回。

と言っても柿田チーム(ニューウィーク)と猫宮チーム(ラビリンス)以外はあっさりと済ませていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 他の参加者の企業名(有名な某CM動画を色々配信している会社、別のゲーム会社所属、下町代表等々)あると面白いかも知れません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ