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元軍人の俺は最強のFPS系配信者として再び戦場で無双する  作者: ゆずけんてぃ
伝説の始まり
13/59

スカウト

一日二話投稿、何とか出来て良かった…


さすがに明日は厳しいと思いますが出来る限りは頑張る予定です。

午後14時26分。

渋谷駅前にて、俺は黙ってベンチに腰かけていた。


春の終わりを感じさせるぬるい風に吹かれながら無意識に雲を見つめて待つ。


「……ったく、あいつの奔放さは筋金入りだな」


諦め混じりに言い放った言葉は空の彼方へと消えていく。

何だかんだ用事が無いのは事実の為、来ざるをえなかったのだ。


横目で溢れんばかりの人の群れを観察してみると、誰も彼も皆きちっと身だしなみを整えている。


ブランド物らしきバッグや衣類、ピアス等の装飾品は勿論の事。

髪型もしっかりセットされていて手入れを怠っていないのが分かる。


……にしても流行りだとは聞いてたがマッシュヘアの男多すぎないか?

五人に一人くらいの割合で居るんだが。



そんな中、俺は疎外感の様なものをひしひしと感じていた。


髪は寝ぐせでボサボサ。

服装は黒のTシャツにジーパン。

アクセサリーなんて当然持ち合わせていない。


ファッショナブルが蔓延る街中で、一人休日のお父さんスタイルを地で行く男だ。

渋谷の景観を損ねていないか心配になってくる。


腕時計をちらちらと見ながら宮園の到着を待つ。

だが、約束していた集合時間はまだ30分以上も先だ。


「ちょっと早く来すぎたかな……」

「本当ですよ。相変わらず真面目なんですね」

「真面目っていうか、色々早めにやんなきゃ落ち着かないタイプなんだよ」

「へー…まあ私は先輩のそういう所、凄く魅力的だと思います」

「そりゃどうも…………ん?」



ここでようやく俺は異変に気付いた。


最初の言葉は誰に向けた訳でもない独り言だった筈。

にも関わらずいつの間にか会話のキャッチボールが繰り広げられていたのだ。

あまりにも自然すぎて一瞬納得しかけたが……よくよく考えるとおかしいだろ。



慌てて背後へと振り向く。




肩まで掛かる程の長い金髪をたなびかせた美少女がそこに立っていた。

服装は緑色のカーディガンに白のスカート。



少女は俺の顔を見てさぞ嬉しそうに瞳を輝かせている。


さながらその様子は餌を前に差し出された子犬そのものだった。


「えへへ。10年ぶりですね、柿田先輩!会いたかったです!」




「……宮園なのか?」



「はい!24時間、365日!いつでも元気と可愛さ120%の宮園皐月ですよ」


学生時代に幾度となく聞いた口上だ。


びしっと敬礼の姿勢を取ってはにかむ宮園。

太陽に照らされたその笑顔はいっそう輝いて見える。


改めて彼女の姿を捉えた俺は強い衝撃を受けていた。

驚きの余り、思ったことをそのまま口に出してしまう。




「お前、全然変わってないな!」


「……え?」



え?だって宮園って年は俺の二個下だよな?

って事は今26……?いや嘘だろ?


目の前に居る彼女はどこからどう見ても高校時代の姿そのまま。

10年という時を経てもなお全身に若々しさを纏っていた。


生命の神秘とすら思える光景に瞬きを繰り返す。

正に僥倖と言った感覚だ。



……と、俺的にはこれ以上ない称賛のつもりだったんだが。



「ど、どうした?」


「むぅ……」


その言葉を聞いた宮園は、顔をしかめて破裂しそうな程頬を膨らませている。

不満の感情を表しているのは火を見るより明らかだった。




 ◆


「前よりずっと可愛くなったなって褒めてもらいたかったのに……」

「本当にすみませんでした。酷く浅慮な発言だったと痛感しております」


ファミレス内にて盛大に頭を下げて平謝りする俺。

宮園は呆れたと言わんばかりに目を細めていた。


確かに思い返してみれば滅茶苦茶失礼な台詞だったかもしれない。

変わってないの捉え方にもよる話だが……


「まぁ……先輩なりの誉め言葉だったという事は分かりました」


腕を組みながら顔をぷいっと逸らされる。

いまいち釈然としていない様子だが、一応言葉の真意は伝わってくれているみたいだ。


こういう時の機嫌の直し方を知っている俺はメニュー表を机に広げる。


「悪かったよ。このパフェ奢るから今回は水に流してくれ」


「いぇーい!先輩大好き!!」


対価を差し出した途端宮園はすぐ様満面の笑みを見せた。

物凄い手のひら返しっぷりである。



……本当に変わらないな。あの頃と同じ宮園だ。

時を経て変わってしまった存在を知っているからこそ、猶更そう感じる。


何だかんだ勝手な部分も学生時代のままだが……

むしろ今は、その事実に強い安心感を覚えていた。




「で、改めて何か用があるのか?」

「あむ……まずこれをどうぞ」


宮園はパフェを頬張りながら一枚の紙を手渡して来る。


「名刺か?」

俺の問いにこくりと頷く。


そこには株式会社ニューウィーク、代表取締役社長 宮園皐月と書かれていた。



株式会社ニューウィーク…聞いたことがあるな。


確か、配信活動を生業にした者を集めた今話題のエンターテインメント企業……だったか?



で、代表取締役社長の宮園皐月と。

成程ね。うんうん……



「は!?何?お前社長になったの!?」


「はい!高校卒業してからコツコツと地盤を固めてついに起業したんですよ!」


えっへんと盛大に宮園は胸を張って見せる。

まるで親に満点のテストを渡す小学生の様だ。


「へぇ……凄いな」

名刺と宮園の顔を交互に見ながら俺はひどく感心していた。


些かリアクションが薄いと思われるかもしれないが、こいつ高校時代は真面目に総理大臣になるとか言ってたんだぜ?

スケールが小さくなってるにしろ、立派に働いているのは非常に良い事だと思う。



「で、ずばり今回はスカウトに来たわけなんですよ」


「……スカウト?」


スプーンを置いた宮園は、勢いよく右手を差し出して来た。



「柿田先輩……良ければうちの会社で、配信者として活動してみませんか?」

評価やブックマークをして頂けると大変励みになります。


次回以降から新章、及び配信者としての柿田の人生が本格的に始まります。

新章タイトルは【配信デビューと弟子になりたい少女】の予定です。


宮園の態度については落としどころを予め考えておりますので何卒

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 先輩後輩の仲なのはわかるが…1企業の社長としては軍役までした主人公にこのスカウトどう映ってたのか…
[良い点] 宮園のリアクションがちょっと面白かった。 [気になる点] 宮園のテンション高いのは柿田に会えて嬉しさ120%だからなんだろう。
2021/09/13 22:10 退会済み
管理
[良い点] いつも面白いです。 26歳で社長ってすごいですね。 容姿含めて彼女の努力が伺えます。 スカウト以降の展開や、柿田さんのお返事も楽しみです!
2021/09/13 20:23 退会済み
管理
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