2.乙女ゲームの世界
説明回って読むのも大変ですよね…
なので早めの投稿。
ここは私が前世で過ごした日本という国で全く流行りはしなかったが、それなりに話題となった乙女ゲームの世界である。
『いつの世も貴女がヒロイン』という絶対に流行りそうにないタイトルで、内容は定番中の定番ストーリーではあるのだが、攻略対象が変わっていることで少しばかり話題になったゲームなのだ。
ヒロインと悪役令嬢がいることは言わずもがなだが、ヒロインが攻略する対象に王子は居ない。いや、この国に王子はきちんと居るのだけれども。そして宰相の息子や騎士団関係者も対象ではない。
では誰が対象なのかと言うと、大きな商会の息子や料理人、唯一定番と言えるだろう学園の教師とその教師の息子。まあ、教師の年齢を考えると定番とまでは言えないかもしれない。
何というか…失礼な言い方になるが、いわゆるモブ的なメンバーが攻略対象なのだ。いや、対象となるだけあって皆それなりにイケメンではあるのだが、高スペックである王子や宰相の息子などと比べるとやや劣ることは否めない。
とはいえ、王子達はメインメンバーではないためスチルが何枚もあるわけではなく、攻略対象のスチルにほんの少し写り込む程度のため、そこまで細かな描写ではないのだが。それでも、攻略対象達が霞むのではないかと思うほど、絵師さんの愛は注がれていたと思う。
ちなみにヒロインと悪役令嬢は居ると言ったが、こちらもよくある平民のヒロインと貴族の悪役令嬢ではない。むしろ逆だ。
攻略対象がほぼ平民の身分に近い者が多いため、ヒロインが高位貴族である公爵令嬢である。そして悪役令嬢はその公爵令嬢に仕える侍女。あ、侍女に婚約者はいない。
このゲームは身分差の恋愛がテーマだった。身分差の恋愛を許さない公爵家は阻止するよう、令嬢と常に行動を共にしている侍女に命令をする。しかし侍女は幼い頃から一緒に育った公爵令嬢の想いを叶えてあげたかった。そのこと自体はとても良い話となるのだがしかし、何を血迷ったのか侍女は反対されればされるほど燃え上がる恋愛が正だと、公爵令嬢をいじめにいじめあげるのだ。
そしてそのいじめから助けるためと、公爵家はこの恋愛を絶対に認めないだろうと、公爵令嬢と共にこの国を出る攻略対象達。その後の話もあったはずだがあまり覚えていない。
ヒロインが悪役令嬢にいじめられて、攻略対象と真実の愛を見つけて結ばれる定番ストーリーの乙ゲー。
しかしながら実際の内容はこの面白いのか面白くないのか分からないストーリーと胸キュンには決してならない非常にダサいタイトル。攻略対象のことだけでなく、これでは話題にならない方がおかしいだろう。
そして当然ながら売れるはずはなく、結局全員分の話が配信される前に終わってしまったのだった。
私自身が元の世界ではどのように人生を終えたのか全く覚えておらず分からないのだが、そんな微妙な乙女ゲームの世界に生まれ変わってしまった私。
―――サイアクだ。