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14.過保護

 私が目を覚ました日、私はフィリップ王子にでろでろに甘やかされた。いや、もう、そりゃ…ねぇ。

 目が覚めてから両親と王妃様が部屋に来て少し言葉を交わした後は部屋でゆっくりした方が良いと王子に言われて、その日はそのまま王城へ泊まった。それはとても有り難かった。まだ身体を思うように動かせなかったからだ。侍女に助けて貰いながら食事を…と思ったのだが、いくら呼んでも来ない。代わりに何故か王子が部屋へやって来た。そして甲斐甲斐しく私のお世話をしてくれまくったのだ。さすがにお風呂は辞退した。やめてー!

 以前の私ならまだしも、前世の記憶を取り戻した私にはちょっと…重かったな。うん。でもね、顔はとてもイケメンだ。とにかくイケメンなのよ。目が合うとにこりと心からの笑みを返してくれるものだから、私はその度に顔を赤く染めたのだった。


 それで分かったこともある。マルティナが行った私の断罪は結局、冤罪で終わったということだ。そうでなければ王子が私のそばにいるはずがないし、まだ婚約者のままだということがないはずだからだ。この笑みも当然ながら。


 あの日、あの後何が起きたのだろうか?知りたいな…王子には聞けないけど。だって、マルティナのマル…と言っただけでとっても怖い顔をするんだもの!背筋が凍りつくような…とても素敵な微笑みをしてくれるのよ。


 王子のお世話のおかげで私は一人で歩けるほどには回復した。部屋の前の廊下をいつもよりはゆったりとしたペースで歩いていたら声をかけられた。


「レベッカ様!」

「まぁ、ローラン。何だか久しぶりね」

「お身体は大丈夫ですか?」

「ええ。体が動くようになったの。これで家に帰れるわ」

「それは良かったです」

「そうだ。フィリップ様には聞けなかったからローランに聞くのだけれど、あれからマルティナ様はどうなったのかしら?私…倒れてしまって覚えていないの。教えていただけないかしら?」

「あー…」

「どうかしたの?」


 ローランは頭を抱えながらしゃがみこんでしまったので、私はおろおろとしてしまう。どうしたら良いのかしら?


「殿下に伝えておきますので、殿下から直接お聞きになってください」


 むぅ。教えてくれなかった。なかなか手強いぞ。でも、 まぁ、気になることが聞けるのなら…教えてもらえるならいいか。自分からは聞けなかったことだ。


「よろしくお願いしますわ」

「はい。殿下にはきちんと伝えておきます。それよりも、今日はここまでにしませんか?部屋までお送りします」

「まだあまり動いていないのだけど…」

「殿下にレベッカ様を見てきて欲しいと言われたのです。部屋から出ていたら連れ戻してくれと」

「まあ…」


 過保護にも程がある。と思うが、それも王子の優しさのひとつと思えば渋々とだが従う気になる…重いのには違いないけど。


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