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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

鬼灯-ふたばの糸-

傍観者

作者: ウツギ。

「きこえるでしょ」

「きこえない」

「ちがうよ、それはきこえないふりしてるだけ」

「きこえない、きこえないきこえない」

「あーもー幼稚園児みたいなこと言わないの!」

「きこえない!!」


 君は目を伏せて、ドンッと尻餅をついた。


 大丈夫かな、なんて。


 いやいや、何が大丈夫かなだ。

 私はなーんにもみてない。みえない。


「ねぇ」

 君は頬をおさえる。

 そして目を細めると――――

「みてたよね?」

 みてない。


 君は腕を頭の上に持ち上げると、体育座りのまま目を伏せた。

 君がふと、顔を上げると、私と目が合った。

「目、みたよね?」

 みてない。


 君は倒れこんだ。

 君は必死に私を見ながら口を開く。

「きこえたでしょ」

 きこえない。

 きこえないよ、なんにも。


 ▽ 


 君は目を伏せて、ドンッと尻餅をついた。

 女の子達の中のひとりが、君の頬を平手打ちする。君の頬が真っ赤に染まって、君は頬をおさえる。

 そして目を細めると、ほろりと、その目から水が零れた。

 女の子達はそれを見て楽しそうに、座りこんだ君を蹴る。何度も。何度も。

 君は腕を頭の上に持ち上げると、体育座りのまま目を伏せた。

 君がふと顔を上げると、私と目が合った。

 刹那。

 強い一撃が、君のみぞおちに入る。

 君は倒れこんだ。

 苦しそうにしながら、君は必死に私を見ながら口を開いた。


「たすけて」


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― 新着の感想 ―
[一言] 今回もとても私にとってドンピシャな作品でした!! これからもウツギ。さんの作品楽しみにしてます!笑
[良い点] ループのさせ方が非常に上手い。 ありきたりな作品と言われるかもしれませんが、もう貴女のファンになってしまったわたしは、ただただ盗みたいとしか思えません。 出してくれて嬉しいです。これに尽き…
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