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14.1 鏡崎彼岸の人生相談

8月27日

――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM14:00――


彼岸「もみじさんは不在……、か。適当に座りましょう……」


▶彼岸は夏水にミルクティーを注文し、砂糖で埋め尽くすように入れます


彼岸「はぁ……。この前のアレは流石に不味かったですね……。いえ、私の理性が弱かったのもあるんでしょうけど……」


▶一気に飲み干すようにミルクティーをかきこみます


彼岸「もみじさんに言わせれば、そういうところが『心が弱い』んでしょうけど……。だとすればなんで私が選ばれたんでしょうか……」


プロティン「こんにちわー!今日も今日とて暇だから遊びに来てあ・げ・た・ぞぉ!ぉんやぁ??オーナーは不在かぁい??……ハッ!そこな丸い背中はどうしたんだぁい??まだ昼間だってのにここだけ涼しいじゃあなぁいw」


夏水「うるせえぞ筋肉ダルマ!!」


▶プロティンがくるくるとターンしながら彼岸にバラを出しつつ寄っていきます


彼岸「ああ、あなたですか……。いえ、ちょっと不甲斐ない自分を嘆いていたところですよ……」


プロティン「おやぁ!誰かと思えば彼岸ちゃんじゃあないかぁwここが涼しそうだから相席するよぉw今日はいつもの服じゃあないんだね!その恰好も似合ってるよぉwとってもキュートだ!、で・も!そんなに前かがみにしてたらせっかくの美人が台無しだぁ!――はっはぁん?もしかして恋の悩みかなぁ??」


彼岸「恋、ですか……。そんな分かりやすい悩みなら良かったんですけれど」


プロティン「おやぁ!外れたかー!自信あったんだけどねぇwそうなるとなにで悩んでるかなんて私にはわからないなぁ…!教えてくれないかぁい?」


彼岸「この前の戦いで……、あー……えーっと……。その、まあ、失敗しまして……身内の世話になってしまったんです」


プロティン「この前……?たしか、湖の底の何とかとかいう奴だっけ??思ったより柔らかかった奴」


彼岸「――それも大概でしたが……別件ですよ」


プロティン「おや、そうなのかぁい?失敗ねぇ、何が起こったのかは分からないけど、身内の世話になったって?それを気に病んでいるのかい?」


彼岸「その時の状態が良くなかったんですよ。――毒のせいか頭がボンヤりとしていてあまり覚えてませんが……。そうですね、さながら発情期の犬猫のようだったそうですよ」


プロティン「正直その場に居合わせれなかった事が残念でならないと言わざるを得ないけど!それで?その失態を悔いているのかい?」


彼岸 「それもありますが……。自分の弱さを、ですよ。――あんなにも呆気無く理性を失う自分の弱さを……」


プロティン 「ふぅむ、自分の弱さ、かぁ。彼岸ちゃんはさ、その弱さっていうのは何がいけなかったんだと思うんだぁい?」


彼岸「それが分かれば苦労しませんよ……。強い人を参考にすれば、とも思いましたが……、よく分かりませんし」


プロティン「ハッハーwわからないかぁwそうだよねぇ、でもさw他人を参考にしたってその人にはなれないんだからさぁ、自分のその弱さってのを明確にして、どうすればいいかってのを探すしかないんじゃないかなぁ?」


彼岸「どうすれば、ですか……。どうすればいいんでしょうね……」


プロティン「その強い人だって!すべての能力が強いわけじゃあないはずだし、弱いところだって必ずあるはずなんだ、でも、その弱いところをうまく避けているんだと思うんだ!」


彼岸「一度……、戦いから離れた方がいいんでしょうか」


プロティン「そういう意味じゃあないよw必ず方法はあるはずさ!努力を経て鍛えるってももちろんだけ、出来ないところは人に投げちゃえばいいんだよw」


彼岸 「――人に任せる、ですか……」


プロティン 「そうとも!一人でなんでもできる奴なんて居ない!得意不得意が必ず存在する!彼岸ちゃんには彼岸ちゃんにあった方法があるんだよ!ダメージが苦手だっていうんならさ!ほら!私の背中は広いぞぉw」


彼岸「……ふふっ、なんだか父親みたいですね」


プロティン「ハッハーwようやく笑ってくれた!笑ったら悩みは解決した証だぁw悩みを解決するお父さんの出番は終わった!これからは笑顔の可愛い彼女とアフタヌーンティーを愉しむ彼氏の出番だw」


彼岸 「――ああ、すみません。用事があるので帰りますね。支払いは私がしておきますので」


▶時計を見て、プロティンの分の伝票を取ります


プロティン「おや、残念だなぁw時が進むと決めた神が恨めしいよwそれじゃあ続きはまた今度だねぇwハッハハーw」


彼岸「――次があるかどうかは分かりませんが…まあ、気分転換にはなりました。ありがとうございます」


▶もみじは伏菟野に電話をかけているようですね


もみじ「……そうです。危惧していた通りでした。大禍時を殲滅することは出来ていませんでした。伏菟野ふどのさんのツテを使って使える人材をもう少しいただけませんか?」


伏菟野「うーむ……かなり難しい。どうやら皇の方で綾波レイ計画、というのが始動しているらしくてね。そちらにだいぶ人材を取られているんだ」


もみじ「そう……ですか」


伏菟野「こっちはトップシークレットでね、一部の英雄にしか情報を伝えていないんだ。万が一公にでもなると常識や概念が変わりかねない」


もみじ「差し支えなければ、どんなものか聞いても?」


伏菟野「そっちにいるお嬢さんを捜索するのを打ち切った皇は娘と同じ顔の物体を風俗や人体研究の素材にすることで赤字を補填しているらしい。研究所を今破壊しているが……、残党殲滅することはできないだろうね」


もみじ「うへえ……そっち担当じゃなくてよかったですよ」


伏菟野「そちらには皐月くんや正くんもいるだろう?そっちのほうでなんとかしてくれ。人材はいつも足りないとはいえね……」


もみじ「わかりました……。進展がありましたらまた連絡します」

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