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09.1 秋月このはの2人セカイ事情

6月12日

「見られ……いえ、聞かれたくない話があるんです」と言葉巧みに誘導し、あの時の場所に、このはは幽雅を呼び出した


――朱鷺森市 秘密の場所――


幽雅「懐かしいですね。もうそろそろ1ヶ月ですか」


このは「あれ、もうそんなに経つんですか。はやいものですね~」


幽雅「時間が経つのは速いなって大人が言ってましたけど、本当ですね」


このは「速いといえばゆーが君もですね~。まさかこんなに早く夜叉の力を身に付けるとはさすがに思いませんでした。すごいですね~」


幽雅「――知ってたんですか?」


秋月「ええとその、もみじさんから聞いたんです」


幽雅「――――そうなんですか。最近、玲海さんとかと一緒にもみじさんと夜叉としての修行をしてるんです。まだ未熟なんで、ないしょにしておこうと思ったんですが、仕方ないですね」


このは「それでその、言っておきたいことがあって……。独り言みたいなものなので聞き流してもらってもいいですけど」


幽雅「えっ……なんでしょうか……」


このは「お祭りの日にああ言ったこと、実は少し後悔してたんです。関係のなかった普通の人を、このはのせいで危険にさらしてしまうかもって」


幽雅「…………!」


このは「でも、ゆーが君の頑張りたいって気持ちはこのはには否定できなく……いや、しようとも思えなかったんです」

このは「――――……一緒に戦ってくれたらうれしいっていうのは何よりの本当の気持ちでしたから」


幽雅「そうですか……。迷惑でした、やめてくださいって言われるのかと……。――少し、思ってました」


このは「そんなわけ……と、とにかく!ゆーが君が強くなってくれたおかげで後悔の気持ちは減りましたが、この先消えてなくなることはきっとないです」


幽雅「ありがとう……。ちょっと、いや、かなり不安だったんだ。勝手に責任を押し付けてるんじゃないかって」


このは「ううん、このはが望んだことですから。でも、けして無茶はしないでください。無事でいてください。後悔、させないでください」

このは「もちろん、このはも精一杯できることはしますから」


幽雅「はい……。僕の胸のつかえは取れました。それで、聞かれたくない話はこれじゃあ……、ないんですよね?」


このは「それは……え~と、そうなんですけど」


幽雅「薄々気づいていたんです。隠したいなって思ってることは多分剣だけじゃないって」


このは「えっ、ほほほんとですかぁ!?そんな……そんなに失敗はしてないはず……」


幽雅「闇夜に紛れる英雄は、一般人に言えない秘密なんて2つや3つ、あるものですから。きっとそうなんですよね?」


このは「そ、そんなにいっぱいはないです!多分」


幽雅「そうなんですか……」


▶幽雅はしょんぼりとします


このは「な、なんでそんな肩を落とすんですか~もう……」


幽雅「英雄なら秘密をいっぱい抱えてこそ!って勝手に思ってました……」


このは「このはは英雄ではないですから。本当の英雄さんならそんなこともあるかもしれないですけど」


幽雅「じゃあ棗さんなら……! いえ、話をずらしちゃいましたね」


このは「棗さんならこのはたちの知らない姿もあるかもしれませんね~。――――ふぅ、このはから言い出した話ですもんね」

このは「あの、いったん目瞑ってください。大丈夫ですよ~見てない隙に逃げたりはしないです」


幽雅「は、はい……」


▶幽雅はガチガチに固まって、力強く目を瞑ります


このは「できれば、何があっても受け入れてください……ね」


▶緩やかに舞うように、くるりと回って変身を解きます


このは「じゃあ、えっと見ていいですよ……?」


幽雅「は、はい………!?」


このは「このは、本当は人間じゃないんです」


幽雅「か、かっこいい……!や、やっぱり火とか出せたりするんですか!!?こう、ぶわーって!」


このは「えっ。あの……えっ!?」


幽雅「やっぱり炎を身に纏ったりするんですか?狐火って言うじゃないですか!」


このは「え~と、このはずっと剣に憧れてきたのでできないというか、やったことがないというか……」


幽雅「そうなんですか……」


このは「がっかりしないでください!?そう!練習したらできるようになるかも?よく知らないですけど……」


幽雅「えと、えーっと、人間じゃなさそうな人なんていっぱいいますし今更ですよ!もみじさんも棗さんも人間じゃなさそうですし!?――――でも、教えてくれるだけ僕を信用してくれてるってことですよね。ありがとう」


このは「いえ、そのっ、お礼を言うのはこっちです~……」


▶このはは静かに泣き始めてしまいます


幽雅「い、いやその……僕何か悪いことしましたか?えとえと……、ご、ごめんなさい……」


このは「え、えへへ。大丈夫ですよ~。ほっとして、嬉しくて……。信じていてもやっぱり怖くって……」


幽雅「怖かったんですね。大丈夫ですよ……。僕だけは、何があっても秋月さんの味方になりますから」


このは「ゆーが君……ありがとう、ありがと……っ、ふえええん」


幽雅「ここなら、見てる人は僕しかいませんよ……」


このは「う、うん……っ!?だ、ダメですっ!そのゆーが君が見てたらダメなんです!ご、ごめんなさい今日は先に帰ります!」


幽雅「そうですか。ではまた明日、学校で」

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