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西の町

 次の日に、塩を持って行ったら、皆に感謝された。

 ポーションも合わせ出して、狩りに出る時には持ち歩くように言った。

『貢献ポイント2000が付与されます』

 意外に安い?苦労の割には。まあ、塩だけなら、遠かった事を除けば大した苦労はしてない。

 みんなの笑顔が一番だよね。

「建材も育って来たので、家を建てる準備をしませんか?」

 綿花も育てて、女性達の力も借りて糸にし始めた所だ。

「そうじゃな。工具も作ったし」

 木を魔法で切り倒して、水魔法で水を抜いて乾燥させる。後はみんなにお任せだ。さすがに建築の知識はない。土魔法で簡易的な家は作れるけど。

 家が農家だったので、農業の知識はあるけど、ここではあんまり必要ないみたい。

 試験的に集落の人達が耕した土地で種を蒔いて井戸水をやってみた。

 それと、私が土魔法で耕した土地にも、井戸水で育ててみたけど、私が耕した土地は、やはり野菜の生育がいい。

 水魔法をやった時程じゃないけど。魔法なしの土地は、やっと芽が出た所だ。普通の成長速度と同じ位かな?

「ここから西にも町があるんですよね?」

「もう何年も行き来していないから、まだあるかどうかは分からんが」

 一応マップで確認するけど、建物のある形跡があるし、ここより規模は大きそうだ。

「行ってみます」

「ミノリ!」

「マイラ、どうしたの?」

「だってミノリは全然休んでないし、だから…心配で」

「うん…こっちに来てからゆっくりした事はなかったかな?でも、ちゃんと寝たり食べたりはしているから大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

 まだ午前中だから、半日は進める。軽く手を振って歩き出した。


 次の町を見つけたのは、二日後だった。

「止まれ!お前はどこから来た?」

 石造りの壁に囲まれたその町には、門番が立っていた。

「んー、東?」

「…ふん。付いてこい」

 マイラの集落よりはましだけど、みんな痩せている。それに怯えている?

「あの、私は野菜が作れます。まずは食料問題を解決しませんか?」

「まずはこの町の長に目通りして、お情けがもらえれば住んでいいぞ?」

「あ、いえ、住むとかじゃなくて」

 石造りの、この町一番の屋敷に入っていく。

「名前は?」

「あ、ミノリです」

「失礼します!ゴーバン様、ミノリという娘を連れて来ました」


 部屋の中は、こんな時代だというのに贅をこらした造りになっていた。豪奢な椅子に座るのは、40代と思われる筋肉質の男。

「まだ子供ではないか。ふん、だが顔はいい。お前には後に褒美をやろう」

「は!有難き幸せ!」

 門番は敬礼をして出て行った。

「ミノリ、近くに寄れ」

「あの、まずは畑を作りませんか?…!や!」

 いきなり無遠慮に胸を触られて、突き飛ばそうとするが、強い力で腕を掴まれた。

「儂に逆らわぬ方が身のためだぞ?…!な」

 蔓がゴーバンに絡み付く。

「私は、ここに住みたくて来た訳じゃない。神様からバルスの再生を頼まれて来た!」

「ばかな、神の御使いだと?」

「外に来て」


 マップで町の中心部を確認して、結界碑を建てる。

「この感じは…」

「これで町に魔物は入れない。後は井戸と畑を作る」

「ま、待て!この町を魔物の脅威から守っているのは儂だ!勝手にやられては困る!」

「あなた個人の問題より、町の人たちの暮らしの方が大事でしょう?」

「そ、そうだ!御使い様の邪魔をするな!」

「何だと!今までお前達を生かして来たのは儂だ!」


(アクア、水源は?)

「こっちでしゅ」

「ま、待て!」

 ミノリはゴーバンを無視してアクアを追い、指差すそこに魔法で穴を開ける。井戸セットを買い、水を出して見せると町の人たちから歓声が上がる。

 近くの荒れ地を耕して適当に種を蒔き、水魔法で水をやる。

 レベルも上がったからか、魔力にも余裕がある。

 果物の苗木を何本か植えて、水をやって息をついた。

「確かにこの辺の魔物は少し強いけど、武器さえあればこんなに町の人たちがいるんだから、戦えない訳ない」

 ミノリはガンボさんから貰った剣を何本か出す。剣を取りに来た人に、ポーションも一緒に渡した。

「貴様ら!この儂に逆らうと言うのか!」

 誰彼構わず攻撃しようとしたゴーバンに、蔓を巻きつけた。

「逆らうとか、支配じゃなくて仲良く協力して暮らせばいい」

 町の人たちは、ざっと見渡しただけでも100人位いそうだ。

「あと、畑になりそうな土地ってありますか?」

 ミノリは町の人に話しかける。

「は、はい!こちらに」


 ある程度耕して苗木も植えて、そろそろ魔力も怪しくなってきたミノリは、その場に座り込んだ。

「あの、御使い様、もう少し武器を頂けませんか?」

 大分ポイントにも余裕があったので、適当に武器を用意した。

「ありがとうございます!これであいつに復讐出来ます!」

 ミノリは男から剣を取り上げた。

「この武器は、復讐の為に渡したんじゃない。今は人どうしが争っている場合じゃない」

「しかし!娘はあいつに殺されたようなものなんです!婚約者がいたのに突然あいつが現れて娘を攫われ、手籠めにされた娘はそれを儚んで自殺を…」

「それでも。罪を償わせる方法なら他にいくらでもあるから」

「…御使い様がそうおっしゃるなら」

「気持ちは分からなくもないけど、復讐は空しいよ」

 ミノリは亜空間を開いた。

「また来ますね」

「!消えた…」


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