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異世界村人発見!

 南に歩く途中、角の生えた兎が襲ってきた。まっすぐに飛び込んで来た所を少し体をずらして首を狙って切った。この素早さはトールのおかげだけど、生き物の命を奪う感触が気持ち悪い。

 ここは平和な日本じゃない…異世界で、これは魔物なんだ。

『レベルが上がりました』

 無機質な音声、命の対価。

『精神的苦痛耐性を得ました』

 少しだけ、心が軽くなった。

『ホーンラビット 20ポイントです』

 安!まあ、弱かったけど。

 

 町に着くまでの一時間程の間に、ホーンラビットがあと二匹、ゴブリンが五匹出た。ホーンラビットは食べられそうだったので、収納庫に入れた。ゴブリンは臭かったから放置。


 町、とは言えないかもしれない。幾つか並んだ掘っ立て小屋から、生気のない目をした人たちが出てきた。

「ここは町…ですよね?」

「かつてはそうだったな。お前さんは随分と綺麗な格好をしている。どこから来なさった?」

「さあ…?」

 何て答えていいか分からない。僅か10人程の人たちは、デザイン的には似ているものの、ぼろぼろの清潔とは言えない服を着ていたから。


「皆さんて、食料はどうされているんですか?」

「この辺では、ホーンラビットじゃな」

 男はアゴで棒の先に尖った石がくくりつけられた槍?を指して見せた。

「畑もないんですか?水は?」

「水ならここから南にニキロ程行けば小川がある。畑なんて作っても、種まで食い尽くしたからな」

「ニキロって、遠くないですか?」

「水場はオオトカゲの巣だ。近くには住めんよ」


「ミノリしゃま、井戸を作りましぇんか?私になら、水源が分かりましゅ」

「本当?作ろう!」

「俺になら穴も掘れるが、ミノリも魔法使わないと、成長しないぜ?」

「えー、そうなの?」

 って、お約束だよね。

「お前さん、誰と話しとるんじゃ?」

 あれ、この子達見えてない?あああ、そんな可哀想な子を見るような目で見ないでー!

「こっちでしゅ」


 アクアが飛んで行ったのは、町の中心部。近くに畑を作れそうな場所もあるし、いいかも!


 ミノリはその場所を土魔法で掘る。

「お前さん、魔法が使えるのか!」

「えっと、一応?」

 何しろ超初心者なので、スコップとかで掘った方が早い位だ。

「あのー、シャベルとかスコップとかありませんか?」

「鉄鉱石さえあれば作れるがな」

 背の低い男が自嘲気味に言った。

「あってもかまども槌もない。まあ無理だな」

「うーん」

「とにかく掘れよ。無理そうなら、俺も手伝ってやるからさ」

 土魔法を使っているからか、硬い岩があっても砕いてくれる。が、二メートル程掘った所で限界が来た。魔力切れだ。

「何やっとるか知らんが、無駄じゃよ」

「無駄じゃないですよ。井戸があれば安全に水が手に入るじゃないですか」

 見かねたガイアが手伝ってくれる。ボコボコと穴があっというまに深くなり、水が湧き出してきた。でもこれじゃ深過ぎるし、水も汚い。

「井戸、売ってないかな?」

 ポンプ式井戸セット 200

 とりあえずこれでいいかな?この電動式とか訳分からん。

 買ったら、勝手にセットされた。呼び水を水魔法で出して、ハンドルを上下させる。

「おおー!何と凄い!」

 三人程いた子供たちも、はしゃいでいる。

『貢献ポイント5000が付与されました』


「怪しい娘だと思って悪かったな。儂はこの集落の村長をしているカシムだ。お前さんは?」

「ミノリです。一応この世界の再生を頼まれたので」

「何と!ホトス様の御使い様か!」

「ああいえ、トールに…」

 神様が消滅した事は、言わない方がいいかな?ショックだろうし。

「御使いなんて、大層な者じゃないですよ」

 あいつの御使いとか、何か嫌。

「あとは畑ですかね?」

 でも魔力が…あれ?少し回復してる。

「その前に御飯かな…お腹空いた」

 スマホの時計を見ると、1時を回っている。

「済みません。今日は狩りに行っていないので…」

 そういえば、二人程いる若い男の人も、一人は怪我しているみたいだし、もう一人は何か辛そう?

「具合悪いんですか?医者は?」

「今朝から熱があってな…」

「そうだ!」

 収納庫から、首なしラビットを出してやる。

「!ありがとうございます!三羽も…御使い様は、お強いんですね!」

 いや、武器もあるし、トールのおかげだけど。

 女の人は、枯れ枝を取って来て、火打ち石で火をおこそうと頑張っている。見かねたミノリは、スマホを使って火魔法を買う。その間に猫耳お姉さんが、尖った石で器用にウサギをさばいている。

 ミノリが魔法で火を付けると、再び歓声が上がった。

 それと、解体用のナイフを探す。

 あった。200か。ついでに解体スキルも覚えよう。こっちは僅か10だ。

「い、一体どこからナイフを?」

「えっと、収納庫?」

 誤魔化した。

「さすが御使い様ですね」

「やめて下さい。ミノリって呼んで下さい」

 結局崇められるのか。

「あの、皆さんは魔法が使えないんですか?」

「使える者は滅多におらんよ。ここから西の町に魔法が使える婆さんがいたが、今も生きているかは分からん」

 そういえば、回復魔法はないのかな?それかポーションとか。

 光魔法があったけど、50じゃなくて100なのか。まあいいや

 魔法を買ったら、ちっちゃな天使が出てきた。凄い、金髪縦ロールだ。

「光精霊のミカルですの。この私の力が欲しいんですの?」

「…契約すると1000ポイント以外に何かメリットあるの?」

「失礼ですわね。私は上位精霊でしてよ。あなたの魔法レベルが上がれば、更に上の魔法を習得させてあげるわ。ただし、私と契約するには何か光る物が必要よ」

 カラスみたいな子だ。

 何かあるかなー?宝石はポイント足りないし、ビー玉?10ポイントで済むし、ダメ元でいいかな?

「まあ!中までキラキラして綺麗ですわ!よろしくてよ」

「私はミノリ、よろしく」

 ラッキー、10ポイントで1000ポイントもらっちゃった!

 それにしても視線が痛い。何とかならないかな?

 とりあえず魔法で怪我と病気を治してあげたら感謝されて、一人300ポイントもらった。


 肉を石の板で焼いて食べたけど、味も何もないから、異世界初の食事は美味しくなかった。


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