アンデットドラゴン
魔の森深部でダンジョンを見つけた。だけど今は先を急ぎたいので、亜空間だけ開いて、更に南に向かった。
邪神跡地よりも魔物は強いかもしれない。凶暴なサルに巨大な熊。岩塩の所にいた虎よりもあるいは強いかもしれない。
ミノタウロスもいたので、それだけは嬉々として狩った。
それでもひと月かけてやっと抜けた。そこは入り江になっていて、魔の森さえなければ、観光地になりそうだ。
旅の疲れも吹き飛ぶ景色だ。もうすぐ、この世界に来て1年になる。
残念ながらまだゼログラビティは覚えていないけど、慣性制御の魔法は覚えた。島に渡るのはもう少し先になる。
そして、遂に覚えてしまった。ホーリー。エクストラキュアのおかげで魔力量もかなり増えたし、魔の森の強い魔物と戦って来たから、レベルも上がった。
暗黒魔法でも、凄いのを覚えた。破壊光線だ。ホーリーとどっちが強いかっていうとホーリーの方が対象を消滅させてしまうので、ホーリーに軍配が上がるだろうけど、破壊光線だって中々の物だ。
暗黒魔法は、ダークソードが使いやすいから、上がりやすいんだよね。
だからといって、アンデットドラゴンに挑むのは、はっきり言って怖い。
「アトム、私、ドラゴンを倒せるかな?」
「大丈夫。ミノリは本当に慎重だな。でもミノリも覚えた破壊光線、あれを奴も使ってくるから、気をつけて」
うえ~当たったら私、即死じゃん。
「そこは僕を信じてよ。量子を操作して、守るから」
ああ、いつかのアレか。
でも心配なので、ポイント使って買いました。死亡を一度だけ回避してくれるネックレス。
100000ポイントもかかったけど、命の代わりになるなら惜しくはない。
縮地も覚えた。私もチートキャラ名乗れる?いや…こんなに意気地なしのチートキャラはいないか。
町の人達も毛皮を脱いで活動している。私はあまり寒さを感じなかったので、変わらずの鎧姿で活動していた。ちなみに冬でも私が水魔法を使えば、作物は次の日に実った。果実だけは実りが悪かったけど、気温が低いから仕方ない。
マルクトの町は、私が全く姿を見せなくなったので、領主が糾弾されている。
ロストマルの方にハニートラップと覚しき青年が現れたけど、無視していたら、そのうち来なくなった。
いくら私が子供だからってそう何度も同じ手に引っかかるはずないのにさ。馬鹿にしている。
シースクの町の人達には、一応頑丈な建物の中に避難してもらって、西へ向かった。
状態異常も、耐性から無効にアップしたので、毒の心配はないけど、怖い物は怖い。
自分に結界をかけて、万全の体制で挑みたかったので、ドローンも切った。今では殆ど負担になっていないから、大丈夫だとは思ったけど。
小山程もあるアンデットドラゴンは、腐った体のせいで動く事も出来ないけど、それならどうやって生きて?いるのが不思議。
マルチ発動を使ってホーリーの雨を降らせる。幾つか外したけど、ドラゴンの肉をえぐった。骨が見えているけど、まだ生きているみたいだ。
毒のブレスを吐くけど、臭い以外に実害はない。
ホーリーの幾つかが弾かれた!強力な結界魔法も持っていそうだ。
ならば、と沢山の魔力を込めて巨大なホーリーの弾を打つ。跡には、えぐれた地面しか残っていなかった。
レベルアップのコールは切ってあるけど、色々上がった気がする。
魔力量が少し怪しいけど、かなりの広範囲でエリアピュアをかけて疲れた私は、早々に亜空間に戻った。
すごく眠かった。そして体が怠い。ミノリはそのまま眠る事にした。