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魔の森へ

 蜂蜜入りの紅茶を飲んで少しまったりして、ポーション作りに取り掛かる。

 はたと思い付いて、ファウストの町に行き、常備してあるポーションを鑑定した。

 やっぱり、効果が半分位になっている。収納庫に入れてあるのは、全然効果が減っていないのに。

 そういえば、この町にも部位欠損の人が居たっけ。

 悪いけど、後回しだ。この町は野菜が足りているので、ポーション用の種を蒔いた。

「ミノリ、久しぶり」

「マイラ!どう?新しい生活は」

「楽しいよ!ミノリはどう?新しい町に行ったんだよね、いい人いた?」

 ルースの事を思い出して、ため息をつく。

「んー…ちょっと嫌な事があったんだ…立ち直ってないから、また後で話すよ」

 出来ればマイラにはこんな話したくない。ああ、そういえばファーストキスも奪われたっけ。相手は精霊だけど。しかも食料品扱いとか、色気の欠片もない。

 アトムのおかげで有力な情報は手に入ったけど、あの恐ろしいドラゴンと戦うとか、正直考えられない。

 そういえば、食肉も集めないと。今度は食べきれる分ずつ渡すようにしよう。あ…そういえば蛇も食べられてしかも高級品だっけ。私は絶対食べないから、今度渡してしまおう。

 強い魔物の方が美味しいから、邪神跡地か、魔の森がいいのかな?ああ…そういえば魔の森も超えないといけないんだっけ。少しずつでも進もう。

「大丈夫?ミノリ」

「ちょっと今、魔力不足で少しぼーっとしてるだけ」

「えー、ミノリでもそういう事あるんだ」

「へ?」

「私も、火魔法を戦いに使ったら、魔力が切れて意識が朦朧としちゃった時があって」

「それは危険だよ!」

「うん、ミノリみたいにはいかないなって」

「私みたいって…そんなに変わらないと思うけどな」

 あ、でも精霊の上乗せ分は多いか。あとはきっと、レベルの差だよね。

 私はレベル1からのスタートだったんだけどな…。

「あんまり無理しないでね?たまには休んでる?」

「この間、休んだばかりだよ。じゃあまたね、マイラ」


 亜空間移動で魔の森近くまで行き、マップを確認する。そこからずっと南に持っていくと、海と、その向こうに島がある。

 岩塩の採取場所からも行けるので、ついでに採取してから行く。

 重力魔法を上げなければならないので、なるべく使うようにしよう。

 ぎゃー!蜘蛛!!

 魔法で潰して、見ないようにして先に進む。

「ミノリ様、魔石は宜しいのですか?」

「虫のは嫌!」

「…はあ」

 アイシクルがちょっと呆れている。誰にだって苦手はあるもん!

 うぎゃー!巨大カマキリ!

 とにかく潰しまくって、先に進む。

「イノシシ?」

 3メートル位の大物だけど、こいつは頭に範囲を指定して、重力波を当てる。脳震とうを起こしたイノシシを鑑定して見ると、ビックボアの子供らしい。これより大きいのって、どんだけ?

 収納庫には、重さに関係なく入れられるので便利だ。

 

 それにしても虫が多い。蟻も巨大だし、サソリは硬すぎて潰れないから、ダークソードで切り飛ばした。それでも抵抗があったので怖かったが、何とかやっつけた。

 丁度魔石近くを切ったので、こいつの魔石だけは回収する。

 夕方近く兵士達が、ロストマルに置いてきた、ロストマルの人達が隠していた肉を奪おうとしている映像が見えた。

 ミノリはすぐに亜空間移動した。


「泥棒!」

「なっ…!御使い様!」

「それは私が倒して、この町の人達にあげた物だよ!」

「で、ですが犯罪者の町にばかり肩入れするのは」

「マルクトの町は冒険者が狩った肉があるでしょう?収穫物を持って行って、この町に閉じ込めたまま、人が生きるのに必要な塩さえ渡さない。そして彼らは満足な食事すら与えられずにただ搾取されている。こんな事が許されると思っているの?」

「しかし、彼らは犯罪者なので、これは罰でもあります」

「この町からの収穫物が途絶えたら、困るのはあなた達の方じゃないの?」

「では御使い様は、彼らに贅沢をさせると?」

「私は、生きる為に必要な物を支援しているだけ」

「我々には、我々のやり方があるのです」

「泥棒をしたら罪になるんでしょう?肉は、この町の収穫物とは関係のない物だし」

「そ、それは…」

「領主が命令したなら、領主も罪になるね」

「そんな」

「私がこの町に渡した物は返して。岩塩もだよ」

「わ…わかりました」


 ミノリは毅然とした態度で、兵士達と対峙する。

「それに、ここの人達の怪我は酷すぎる。今後、ここの人達に不当に暴力を振ったら、同じ痛みを感じる呪いをかける」

 エリア指定して、呪いを発動させる。

「私は、領主が考えを変えない限り、マルクトに今後は何もしない事にする」

 怯えた兵士達が去って行くと、ミノリはかまどの用意をする。

「みんな、料理するよ!手伝って!」

 ロストマルの人達が、感謝の言葉を口にしながら集まってくる。

 天板を置き、肉を切ってオリーブの木から採れた実から絞り出した油を引き、肉を焼く。塩のみの味付けだが、みんなで食べたからか、美味しく感じた。

 魔力も回復したので、子供から先にエクストラキュアをかけていく。

「ごめんなさい、この魔法はすごく魔力を使うから、今日は限界です」

「謝られるなど!我々には、感謝しかありません」

「御使い様、ありがとうございました」

「仲間内で喧嘩しても呪いは発動しちゃうので、それだけは気をつけて下さいね」

「いえ、荒っぽい連中の、いい戒めになりますよ」

 なら、いいか。


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