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マルクトの町と海岸ダンジョン

 畑の作物が次の日に実ったので、大騒ぎだ。

 一応私の魔法だと答えたけど、やらなきゃ良かったかな?

 今後とも是非にと言われたけど、生産バランスを崩すと値崩れを起こすからと言ったら、そんな事まで知っているのは凄い事だと褒められた。

 子供でも、情報社会の中で育ってきたし、農家の娘としては知ってて当然の事だ。

 ダンジョンに行きたいと言ったら、護衛を付けると言い出した。

「私はあの山を超えて来たんですよ?必要ないです」

「しかし、御使い様に何かあったら…」

「この町には、私は必要ないでしょう。たまに様子は見に来ますが、心配な町は他に沢山あるので」

「いや!御使い様には、是非ともこの町に留まって頂きたく思います。いずれ国を起こし、他の町も我々が面倒を見る気でしたし、世界を統一して平和な世界を、ここから開くのです。その為にも御使い様には、我々の力になって頂きたいのです」

「他の町がそれを望まなかったら?」

「他の町も御使い様に良くして頂いているのですから、傘下に下る筈です」

「私は世界を支配したい訳じゃない」

「御使い様にどうこうしろと言う訳ではありません。ただ世界にとって大切な方なのですから、万が一があっては大変です」

「私は束縛なんてされたくない。私は魔法も使えますから、生半可な腕では、足手まといです」

 うーん、私とした事が、偉そうな事言ってる。護衛のレベルがどれ位か分からないけど、精霊の存在も隠したいし、護衛はやめて欲しい。

 この人達は、信用できない。

 護衛の人達が、私を捕まえようと動いた。

 蔓の鞭で拘束して、領主を睨む。

「あなたの説得の為に動いたのです。決して危害は加えません」

「説得なんて無駄です。確かに他の町はこの町に比べたら小さいですけど、ちゃんとみんな助け合っているんです。これ以上何かするなら、結界碑を壊します。この町にも二度と来ません」

「そ、そんな事をしたら、ホトス様の怒りを買うのでは?再生の為に旅をされてるのですよね?」

「買いませんよ。ホトス様にはね。それにその行動を起こさせたあなたの方が問題でしょう」

「侮辱するのか!」

「事実ですよ。結界碑を壊す前に、町のみんなに言います。領主の行動の結果だと」

「!な…」

「世界を支配したいなんて夢を見てないで、この町を良くする事を考えて下さい。私も、町の人個人と話して良くして行こうと思ってますから。私にこれから干渉しなければ、ですけど」

 これだから、権力者は嫌い。

「ぐっ…う、分かりました。これ程強い事が、計算外だったようです」

 少し考えて、気配隠蔽と、透明化のスキルを取った。そうしておいて、亜空間の扉を開く。

 私が消えた事に皆驚いていたけど、知った事じゃない。どうにもまだ何かありそうな予感がする。

 あいつは結局一度も謝っていない。悪いと思っていないんだ。


 海岸ダンジョンの前に出た。

「ガイア、ここに鉱石はあるかな?」

「山のダンジョン程じゃないな。中には人の気配も感じる。気をつけた方がいい」

 分かってるけど、一般冒険者は悪くないと思う。

 ここは水棲の魔物が多く、海産物の宝庫だ。ワカメがうねって足を拘束して来た時にはびっくりしたけど、所詮は海草なので、スッパリと切れた。

 ドロップアイテムは、勿論ワカメだ。

 大量のワカメを採ってほくほく顔で下に降りる。

 ちっ、カエルなんてのも出て来るのか。最速で階段を下り、次の階層へ。

 膝下まで水に浸かる。頭突きをしてくる魚だが、捕まえようとすると、速攻で逃げた。

 雷は感電が怖いから、氷魔法で凍らせてゲットする。

 鑑定 イワナー 骨が多いが、白身で美味

 うん。イワナだね。好きな魚だ。

 次の階層では、変な魚を見つけた。

 鑑定 サケマス 塩を振って焼くと美味

 鮭?鱒?…まあ、どっちでもいいんだけどさ。

 5階層でも、海岸ダンジョンは普通仕様なのかな?

 おお、海老だ。小ぶりで白いけど、海老が水魔法で攻撃してくる。

 鑑定 シロビー 虫系魔物だが、肉質はプリッとして美味

 いや、海老でしょ!どう見ても。

 残念ながら、中途半端な時間から潜ったから、今日はここまで。

 こっちに来てから、初めて魚を食べる。地味に嬉しい。


 どうしよう?亜空間の中では煙が篭もりそうだから、焼き魚はしたくないな。

 と思ったら、ダンジョンの周りで魚を焼いている人が沢山いた。

「嬢ちゃん、こっちで獲物を焼きな」

 みんなで、たき火を囲んで魚を焼いている。中には顔位ありそうなホタテ?を焼いている人もいる。

「やってやろうか?」

 イワナーを出すと、串に刺してくれた。ミノリはそこに塩をふる。

「見ない顔だが、他の町から来たのかい?」

「ええ、まあ」

「うーん、北の町でも見た記憶はないが」

「酔ってるんじゃないのか?ロワン」

「ははっ!確かにな!」

 北にも町、あるんだ。

「おじさん達は、冒険者ですか?」

「ああ。ここのダンジョンで魚を採って町に卸している」

「海では魚、採らないんですか?」

「何言ってんだ。海は魔物の宝庫だ。生半可な船じゃ、あっというまにボコボコにされて沈んじまう」

 うーん、そういう理由か。島の町には行けないな。

「そういや御使い様の噂知ってるか?」

「ああ、俺ん家の目の前に結界碑とやらを建ててもらったからな。あれは凄い物だな。神様に守られている気分になる」

「俺は用事があったから五刻に町を出たんだが、領主の私兵が血眼になって御使い様を探していたな。ありゃ、絶対何かあったな」

「アイツの事だ。欲をかいて御使い様に逃げられたんだろ。そういや、結界碑が立った時、俺は家を離れていたんだ。どんな奴なんだ?」

「何でも成人前位の娘だそうだ。丁度お前の隣の子位の…ええっ!まさか、御使い様?」

「そんな大層な方じゃないですよ」

「だよな、びっくりした。見ない顔だし、もしやと思ったぜ」

「あははー…」

 けど、見られてるなー。

「じゃあ、そろそろ私は帰るので」

 サケマスも焼きたかったけど、後にしよう。



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