天使についてのアレコレ
会話パート長いですが長い目で見てください。
もう1度弓の形をしたネックレスに触れてみるとやはり形が変わり本物の弓のようになった。
それを見た父が話を続ける。
天使というのはおとぎ話のように弓矢を使い赤い糸で結ばれた者同士を弓矢で射てカップルにするんだ。
ただ、本物の天使というのは自分の力で矢を作れるんだそうだ。
だから純粋な天使ではない紬は弓は母さんのものを使えばいいが矢が作れない。
と父が言った言葉を聞いて
「じゃあ矢がない私は天使としての活動はできないってこと?」
と何故か少し安堵したような声で聞き返した。
すると父は
いやいや、確かに紬は自分自身では矢は作れないがあるものを依り代にすれば矢は作れるんだ。
「あるものを依り代に?そのあるものって何なの?」
「君にはもう見えているだろう?」
そう言われて思い浮かぶものは一つしかなかった。
「そう赤い糸だよ」
「でも私に見えているのは女の人の赤い糸だけでそれがどこに、誰に繋がっているのかまでは分からないの」
と言うと父は
「まぁそうだろうね。だけどね、運命の人間なんて意外と近くにいるものなんだそうだ。母さんが言っていたんだけれど赤い糸で繋がった2人は自然と惹かれ合うみたいなんだ」
「じゃあ天使がわざわざ弓矢で射なくても惹かれ合うなら2人は自然と出会って結ばれるんじゃないの?」
とさも当然の質問をしてみると
「天使の矢っていうものは赤い糸で結ばれた二人が結ばれるためにちょっと背中を押して結ばれるための勇気を与えてあげるものなんだ。」
「なんだそんなことしかできないのかーそんなの矢がなくても結ばれている人なんて世の中にいっぱいいると思うけどな」
天使なんて言ってもそんなものかなんて思っていると
「少し言い方を変えれば矢で射られないと永遠に結ばれることはなくずっと自分の気持ちを伝えられないということなんだよ」
「気持ちを伝えられないままだとどうなるの?」
と思ったままの事を聞いてみると
「これも母さんから聞いたことなんだけれど、赤い糸で結ばれていない人と結婚することになるみたいだよ。だけど赤い糸で繋がっていない人と結婚しても結局のところ別れてしまうみたいだけれどもね。」
「だからこそ天使の仕事っていうのはとても大事なんだ。」
と父が言い終わると少し体が震えるのを感じた。
これが新しいことに対する期待から来るものかそれとも責任の重さからくるプレッシャーから来るものか自分ではよく分からなかった。