寂しさ
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「あ、もう6時か」
どうやら俺はゲームに没頭しすぎて時間を気にしていなかった。だが、そこまで没頭していたのにもかかわらず胸のモヤモヤはまったく消えていなかった。
「前はこんなことなかったのに……」
一体このモヤモヤの正体はなんなんだ。まさかあいつが関わってるのか? 確かにあいつがいなくなってからこのモヤモヤができた気がする。
でも俺はあいつがいなくなって嬉しかったはずだ。なのになんだこの気持ちは……。
そういえばあいつ全く帰ってくる気配がないな。確かにドアと窓の鍵をロックしたがあいつならインターホンを連続で鳴らしたり、窓から無理やり入ろうとするはずだ。
なのにそんな様子は一切感じられなかった。俺を学校に連れ戻すという計画はもう諦めてしまったのか……?
「案外早いんだな……」
たった1日で諦めるなんて前に来た俺の担任と同レベルじゃないか。まぁ、俺の作戦が完璧すぎたせいでもあるかな。結局俺を連れ戻すなんてできもしないことをやろうとしたことが間違いだったんだよ。
これであいつも俺のことを気にしないであるがままに自由な生活を送れるし、俺も災難が起きなくて済むからwin-winだな。
そして俺は一階へ降り、夕食の準備をしようと降りた。もちろんまたカップラーメンだ。
だが、どこを探してもカップラーメンは見つからなかった。
「朝の2つで最後だったのか……」
カップラーメンはやめようと思い冷蔵庫の方を見てみた。だけど冷蔵庫の方も食えるような物はほとんど残っていなかった。
こうなったらコンビニで買ってくるか? いやもしクラスメイトに出くわしたら面倒だ。まぁ、どうせ俺の顔なんて覚えてないだろうがな。
明日は月曜だ、ほとんどの奴が学校だろう。その時にコンビニで買ってこればいいか……。
だから今日は夕食はなしだ。お茶はあるから腹減ったらお茶で空腹を満たすしかないな。
「あー今日はなんて最悪な日なんだ」
胸のモヤモヤは治らないし、お腹が空いてるのに飯も食べられない。
またゲームでもするか? だが、そのやる気も湧いてこない。人間って食わないとこんなに弱るんだな……。
「……」
「暇だ……」
暇なんて思うのも久しぶりだな。俺の生活なんてラーメンを食うか、ゲームするか寝てるかだもんな。
そっか、やっとわかったよこのモヤモヤの正体が……。
俺は楽しかったんだ。
綾瀬 美波と話してる時間が。高校生になってから誰ともあまり関わらなくなった俺は、人と話せて楽しいという当たり前の感情を忘れていた。
俺はあいつのことを鬱陶しいと思いつつも、心の底ではこんなに楽しいと思ってたんだな。だからあいつがいなくなったあと1人で寂しいと思ってしまったんだ。
よく考えれば学校で他の人と関わってこなかったのも俺のせいだしな。
少しは学校に戻ることを考えてみようかな……。
そして俺はクラスメイトに会うことに恐れを抱きながらも家のドアのロックを解除しコンビニへ夕食を買いに行こうと決めた。
カチッ
ドアのロックを解除した瞬間ーー
ガチャ
「え?」
「やっと開けてくれたね」
「い、いつから……」
「少し前だよ、ドアの鍵がロックされてるのは知ってたから雅人君が開けるのを待ってたんだよ」
「俺が開けなかったらどうしてたんだよ」
「野宿かな」
「はぁ? なんのためにそこまで……」
「それに……雅人君なら開けてくれるって信じてたよ」
「!?」
こいつのこの自信は一体どこから湧いてくるんだか……。だが、胸のモヤモヤはさっぱりと消えた。そうか、俺はこの会話すらも楽しいと思っているのか……。
我ながらちょろ過ぎるな。だけど……
「ありがとな……」
「ん? なんか言った?」
「い、いや何も」
「そ、じゃあお腹すいたし夕食の準備するね」
「もうカップラーメンないぞ?」
「またカップラーメンなわけないでしょ」
「じゃあ何だよ?」
「雅人君ハンバーグ好き?」
「嫌いじゃないけど……」
「じゃあ今日はハンバーグ!」
「ハンバーグも作れんのかよ……」
興味ないような反応をするも、久しぶりのハンバーグに心を少し踊らせていた。あーなんか中学時代に戻りたくなってきたな……。また前みたいにバカ騒ぎしたいな。
「あ……」
「ん? どうした?」
「卵買い忘れちゃった……」
「そうか、確か近くにスーパーあるから時間かからないと思うぞ」
「そっか……じゃあ買いに行こ!」
「おう、早く戻ってこいよ」
「雅人君も行くんだよ?」
「え?」
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