男の本能
7話です! 短いのですぐ読み終えると思います!
「うっ……」
どうやら気持ちよすぎて久しぶりに長時間寝てしまったみたいだ。とても良い気分だ。これに関してはあいつに感謝しないといけないかな。
だが、今何時だ? まだ外の明るさ的に少し暗い程度だから4〜5時くらいか? まぁ朝早く起きてもすることないしもうちょっと寝てるか……。
すると俺は自分のシングルベッドに妙な違和感を感じた。あれ……? 何故か少し狭い感じがするな。まるで隣に誰かが寝ているみたいだ……。
隣の空いてる方を見てみると……そこには誰かが寝てるみたいだではなく、本当に誰かが寝ていたのだ。
まさか……あいつか!? 確かに家にはあいつ以外誰もいなかったが、男のベッドに潜り込むようなことするか?
まぁ、あの魔王だ。たかが凡人である俺に理解できるわけもない。
そして恐る恐る布団を取ってみると、そこには予想通り魔王こと
綾瀬 美波が布団の中で足を折りたたみ縮こまった状態で横向きで寝ていた。
なんだその寝方……。まるで妊婦さんのお腹の中にいる赤ちゃんのようだ。寝るなら普通に寝れないのかよ。
いや、普通に寝られても困るんだけどね?
「スーー」
くそっ、俺よりも気持ちよさそうに寝やがって……、今日の仕返しに顔にマッキーペンで絵を描いてやろうか? もちろん水性だけどね!
「スーー」
でも、こうしてよく見てみるとさっきまで俺を振り回していた魔王だとは到底思えないな……。こういうやつはきっとイケメンで男らしい男に惹かれて……いやこいつの場合惹かせる方か。
そして普通恋人になって、恋人らしいデートなどをして日々充実した生活を送ってるんだろうな……。クソリア充め!
だけどなんでこんなクソリア充が不登校で全然イケメンでもない俺みたいなやつと一緒にいるんだろうか……。俺の親に頼まれたからって普通ここまでするか? 担任ですら1日だけ来て終わったぞ……。
それとこいつが言ってた個人的な理由って……。まぁいい、それよりこいつが起きたら朝飯だけ作ってもらって出てってもらう。
それがこいつにとっても、俺にとっても良いことのはずだ。とりあえずもうここでは寝れないから下のソファで寝るか……。
そして布団から出ようとした瞬間、腕を掴まれてしまった。
「え?」
「スーー」
「なんだ、寝ぼけてんのか?」
腕を払おうとするが、まったく離れない。てかどんどん握る強さ強くなってね!?
「痛い痛い!」
寝てるくせにまだ俺を振り回すのかよ!
すると手を握る強さが弱くなり、安堵した俺はゆっくりと起こさないように腕を払おうとするが……また握る強さが強くなった。
またかよっ! と思ったがそれだけでは終わらなかった。
「うぉっ!?」
とんでもない強さで俺を引っ張り自分の布団の中に連れ込んで来た。
そして状況は今、狭いシングルベッド寝ている2人がさらに狭い布団の中に体全身を入れ、俺の顔はあと数センチ前に近づければ唇と唇が触れ合うような距離だった。
「ーー!?」
ど、どうすんのこの状況!? 今までの比じゃないんだが!
「スー」
吐息すらもすぐ近くで聞こえる。てかめっちゃ良い匂いするんだが……。髪の毛のシャンプーの匂いも俺の家のを使ったはずなのにまったく違う匂いになっていた。
な、何も考えるな! 変なこと考えるとあれが起動してしまう!
「雅人君……」
こいつまた寝言で俺の名前を? 夢の中に俺が出てきてんのか? どうせ夢の中の俺はまた盛大に振り回されてるんだろうな……。
良かった夢の中にいなくて……夢の中の俺ご愁傷様。
そして災難は続き、顔を俺の胸に寄せてきて、腕も腰辺りに回してきた。
む、胸が……当たってる。や、やばいこの感触! これは理性がもたないぞ? 男としての本能が今にも俺を飲み込もうとしている。
や、やめろ! 起動するな! このままじゃ俺は本当にお前のことを……。
「雅人……くん」
男の本能が今まさに俺を飲み込もうとした瞬間、俺は自分の顔を思いっきり殴った。殴った跡は少し腫れていた。
なぜ殴ったかというと自分を気絶させるためだった。案の定頭の中はグラグラし始めた。
こ……これでいい、ファインプレーだぞ俺。そして俺はゆっくりと息をひきとった……。
別に死んでないけどね?
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