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災難

「うん……雅人君が決めて」


こ、これは誘ってるってことで合ってるよな? そして綾瀬 美波はゆっくりと俺の顔と自分の顔を近づけてきた。


「お、おれは……」


迷うな、ここで男を見せなくていつ見せるんだ。だいたいこんなエロい誘惑をしてくるこいつが悪いんだ!


「雅人君……」


「あ、綾瀬……」


俺の心臓の鼓動がどんどん早くなっていく。全身の血の流れがどんどん早くなっていくのを感じる。あぁ、俺は今日やっと大人の階段を上るのか。


「わ、わかった」


俺が頷いたのを確認し、綾瀬 美波は少し微笑み……

「じゃあ……お願い」


「あ、あぁ」


覚悟を決めようと少し前かがみになり、自分から綾瀬 美波の顔に自分の顔を近づけた。


「……冷房つけて」


「え?」


れ、冷房? 冷房ってなに? あの涼しくなるやつのことか? 俺は綾瀬 美波から放たれた言葉の意味がわからず困惑していた。


「? いやー、ここの密閉された空間暑いなーと思って……だから冷房つけてもらおうとお願いしようと思ったんだけど」


あー、冷房ってそういうことか。やっと言葉の意味が分かったぜ。つまりだ……


俺はこの女に誘惑されてるっていう恥ずかしい勘違いをしてたのかよーー!!


たしかに冷房ならすべてが合点いく。熱くなってきてるこの季節に窓も開けず密閉されていた空間で、2人で神経衰弱をして熱戦を繰り広げていたのだ。


当然そりゃ、体も熱くなるだろうな……。


まぁ、どっからどう見てもあれは誘惑してるようにしたか見えなかったけどな!


「あー! だ、だよな? 当然気づいてたぜ、

冷房のリモコンを探してたんだ」


俺は顔が熱くなっていくのを感じた。やばい、絶対顔赤くなってる。早く冷房つけて冷まさないと!


だが、魔王こと綾瀬 美波はその一瞬を見逃さなかった。


「あれ? 雅人君なんか顔赤いよ?」


綾瀬 美波は笑みを浮かべながら言ってきた。


気づくの早すぎだろ! こいつまさかさっきのもわざと勘違いさせたんじゃないだろうな?


「まぁ、この暑い空間だしな、しょうがないだろ」


と言い、後ろを向き冷房のリモコンを探した。まぁ主に顔を隠すためなんだけどな……。


「本当にそれだけ? にしては急激に赤くなっていたように見えたんだけどなぁ」


やっぱりさっきのはわざとだったんだな! そんな色仕掛けで俺を惑わしやがって……!


てか、そんな色仕掛けに簡単に引っかかる俺って……。


「気のせいだろ、そういうお前だって赤い……」

赤いだろと言いかけようと綾瀬 美波の方を向いた瞬間のことだった。


綾瀬 美波の顔はわかりやすいくらいに火照っていた。それは、この部屋が暑いからというだけでは説明つかない赤さだった。


「いや、お前顔赤すぎだろ」


「だってこの部屋暑いんだもん」


「確かに暑いけど、そんな赤くなるか?」


「な、なるよ!」


綾瀬 美波はこれ以上俺に見られまいと手で顔を覆い、隠した。


「本当に熱なんじゃないのか? ちょっと計らせろ」


「気にしないで! 冷房つけてくれたら治るから」


「いいから計らせろって」


そして、俺は自分の手を綾瀬 美波のおでこに置き、もう片方の手で自分のおでこの熱さと比べてみた。


「ひゃう!?」


比べてみてもそこまで熱いようには感じなかった。


「熱ではないな、それより……」


「お前そんな声出るんだな」


俺はニヤリと笑いながら言った。


「!?」


不意打ちをくらった綾瀬 美波は悔しそうな顔で

「うるさい! さっさと冷房つけてよ!」


「わ、わかったよ」


そして俺は言われた通り冷房をつけた。


「まったく…… 女子のおでこに気安く触ってくるなんて予想してなかったよ」


あ! そういえばなんで俺あんな簡単に女子のおでこに触れることができたんだ? まともに女子と話してこなかった俺が……。


てかよく考えてみたらあの行動キモくね!? イケメンならまだしも俺があんなことやったら引かれるに決まってるのに! は、恥ずかちぃ〜!


だがここで弱みを見せるわけには……。



「ま、まぁな! 俺も男なんだ、こんなの余裕でこなすぜ!」


精一杯の虚勢を張り、恥ずかしさを隠した。


するといつもの平常心を取り戻したかのように余裕を持った顔つきで

「へぇ〜? さっきよりも赤くなってるくせに……」


「!?」


「まぁ、そういうことにしといてあげる。じゃあ私シャワー浴びてくるね」


「お、おう」


そして、この部屋を出て行った。まるで嵐のような災難が過ぎ去ったかようだ。


「はぁー、疲れた」


まだこんなに心臓の鼓動が早い。やはり魔王の名は伊達じゃなかったか……。


だけど、なんであいつあんな顔赤かったんだ? まさか俺があいつに迫ろうとしたからか? いや、まさかな。


そして俺は自分のベッドの上ですぐにで眠りについてしまった。忘れていたこの疲労感。久しぶりににこんな早い時間に寝れて、とても気持ち良い感覚に陥った。





だが災難はこれだけでは終わらなかった。

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