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君が思い出になる前に  作者: 砂糖
6/7

それぞれの交差点

俺は、サキと暫く距離を置くことになった。これで終わりなのか分からないけど、俺にはどうしようもなかった。


「有希、俺とサキはもうダメかもしれない。」

俺は有希に話した。誰かにきいてほしかった。有希は真剣に俺の話を聞いてくれた。

「残念だね。純一は好きになると回りが見えなくなるね。まぁ、一途なのは純一の良い所でもあるけどね。」

「俺はダメな男だよ。情けなくなった。全て俺のせいだよ。反省してるよ。」

「でも、楽しいこともあったでしょ?良い勉強したと思って元気出しなよ。」


有希に話を聞いてもらって、少しスッキリした。やっぱり親友はありがたいな。

考えてみると、俺と有希は辛い事があるといつもお互いに励ましあってきたんだ。有希は、俺の好きな音楽を集めて編集して渡してくれた。

「これ聞いて元気になってね。」

ありがとう、有希。


俺は時間が経つにつれて少しずつ、元気になっていった。サキの事はまだ好きだけど、彼女がそのうち出すだろう答えを受け止める覚悟もできた。


ところで、有希とアキラは順調なのだろうか。

「俺はダメだったけど、有希がうまくいっていたら嬉しいな。」

順調だと思って、聞いてみたんだけど、 意外な反応だった。

「アキラと付き合ってるけど、うまくいってないんだ。やっぱり、アキラは物事をハッキリ言わないんだよね。何を考えてるのか、よく分からない時もあるんだ。機嫌の波もあるしね。」

有希も悩んでいるようだった。

「アキラの顔色を窺うことが増えて、私らしくないなって自分でも思うよ。」

俺は、有希の幸せを願っていたけど、アキラで大丈夫なのかと不安になった。でも、アキラを好きな気持ちは伝わるから、良い方向に進むように二人を応援しよう。


サキから連絡があった。

「色々考えたよ。私も自分の事ばかりで純一に冷たくしてしまったね。本当にごめんなさい。

私はやっぱり純一と一緒に居たいよ。もし、良かったらこれからも側にいさせてもらえませんか?」

フラれると思っていたので、正直ビックリした。

「本当に、俺でいいのか?」

「純一じゃないと嫌だよ。」

俺の中に残っていたサキへの想いが、再び俺を動かした。

俺は、今度こそサキを幸せにしようと改めて決意したんだ。


有希とアキラには暗雲が立ち込めていた。

「やっぱり私はアキラともう無理かもしれない。」

有希は泣いていた。アキラと有希は話をして、お互いに前向きに頑張ってるけど、一時的にうまくいっていても時間が経つとまたギクシャクしてしまうらしい。

「私はもう疲れたよ。」

有希は落ち込んだ顔色だった。

「純一と居ると自然体でいられるのになぁ。」

「それは、有希が俺に対して恋愛感情がないからだろ?」

有希と俺は友達だから気を遣わないのだろうと思っていた。

有希は少し笑って言った。

「私はね、ずっと純一が好きだったんだよ。気づいてなかったでしょ?」

俺が鈍感なのか?全く想像もしていなかった。

「純一をずっと待っていたよ。純一とサキ、私とアキラが付き合うようになっても心の片隅には純一がいたよ。純一と私は友達だと思い込もうとしたけど……」

俺は何も言えなかったんだ。


「私は純一に奪って欲しかったよ。無理な事は分かってたけど、それでも純一を想っていたよ。」


有希は真っ直ぐに俺を見ていた。

俺の心は激しく揺れたんだ。


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