山菜採りをするエルフ
見慣れた森の中を歩き回り、食べれそうな物を探していました。
この辺りは小動物しかいませんので安心して山菜採りが出来ます。
『んー、これは青こごみね』
先端がぐるぐる巻いているのが特徴なので分かりやすいわね。
手持ちのバスケットの中に数本の青こごみを入れ、再び探し歩きました。
森の中を歩いているとリスや小鳥、
うさぎが現れるので和みながら楽しくやっています。
『リスさん、ドングリ食べます?』
伸ばしたら手が届く木の枝にリスさんがいたので、
落ちていたドングリを拾ってあげてみると、
小さな両手でドングリを受け取って貰えましたが、
リスさんは食べずにそのまま持ち帰って何処かに行きました。
きっと、住処に持って行くのかな?
本当は食べている姿を見たかったんだけど仕方が無いよね。
さて、山菜採りの続きをしましょうか。
数時間ほど真面目に探していると、
バスケットの中は大量の植物やキノコ類、果物で埋まりました。
『ふふふっ、これだけあったらしばらくは持つわね』
そろそろ帰りましょうか。あまり遅くなるとロアンも心配しますからね。
そう思って帰宅しましたが、ロアンはベッドの上でぐっすり寝ていました。
本は開いたままでしたので寝落ちかしら。
私はロアンが寝ている隣にそっと座り、寝顔を見ていました。
『本当に気持ち良さそうに寝ているわね』
その光景を見ていると、ロアンが幼かった頃の事を思い出します。
今は大人っぽい顔つきになっているけど、寝顔はまだ子供っぽくて可愛いです。
ロアンの頭の上にそっと手をおいて撫でていると、起こしてしまいました。
『あっ?ルーナか。帰って来てたのかー・・・』
『ただいま、ロアン』
『ああ、おかえり』
『今日はいっぱい収穫が出来たの!今晩は楽しみにしていてね!』
野菜や果物を入れているバスケットを自慢するように見せると、
『楽しみだな』とクスッと微笑んでくれたので嬉しかったです。
取ってきた甲斐がありましたね。
よーし、早速夜食を作るわよー。
キッチンに向かい、植物や果物を水を流して洗い、
まな板とナイフを用意して次々と切っていると、
ロアンが部屋から出てきてこちらに寄ってきました。
何か用事があるのかな?と思っていたらロアンの口から
『手伝うよ』と言われたので驚いてしまいました。
いつもなら手伝ってくれた事なんてありませんので。
『珍しいわね』と尋ねてたら『暇だからな』
と言ってましたけどそれでも嬉しくなりました。
二人でキッチンに並んで料理を作る光景が珍しいからなんだが気恥ずかしくもなりました。
そして、順調に野菜をオリーブオイルで揚げて本日のメニューが出来ました。
ロアンがお皿をテーブルの上に用意し、
私が盛り付けをしていつも通りに向かい合って座りました。
『『いただきまーす』』
一口食べてみると、我ながら上手に出来ていて美味しかったから満足ね。
ロアンにも尋ねたら美味しいと言ってくれました。
ふふっ、嬉しくてつい微笑んでしまいます。
私は皿に盛ってあるキノコを口の中に運び、
これも美味しくてつい微笑みました。
『ふふっ、このキノコも美味しいわ。ふふふっ・・・』
そしてもう一つ食べると、笑いが止まりませんでした。
『うふふふっ、本当に美味しいわ。はははははっ・・・』
ルーナに笑い方を見て、違和感を感じた俺は念のために聞いてみた。
『ルーナ。もしかしてだけど、これって毒キノコじゃないか?』
始めに見た時から変な赤色のキノコだったから大丈夫かな?
と思っていたからマジで毒キノコの疑いがある・・・。
心配をしてあげたがルーナは否定をし続けた。
『毒キノコのわけがないわ、ふふっ。
だって、ちゃんと見極めて取ったんだもん、うふふふふふふっ』
ぜってー毒キノコだろ!!!
俺はすぐさまに棚から瓶入れている毒消しの飲み水を持ってきてルーナに渡した。
『ルーナ!!これを飲め!!』
『ふふっ・・・ありがとっ、うふふふ。
でも、多分大丈夫だと思うけどね』
そう言って疑いながら飲んでいたが効果は直ぐに現れ、ルーナの笑いが止まったのだ。
キョトンしていたルーナは俺の顔を見て一言喋った。
『毒キノコだったわね』
『だろうな』
赤色のキノコは勿体無いけど全て捨てる事にした。
次回から三章へ!




