ルーナの告白
『ロアンー、誕生日おめでとうー!』
『おーサンキューな』
この日の夜、俺が20歳になった誕生日会を開いている。
テーブルにはデコレーションケーキ(俺が買ってきたやつ)や、
ルーナが作ってくれたオリーブオイル焼きのチキンやピザ、
サラダやフルーツの盛り付けがある。
うん、すげー豪華だな。
食べ物も楽しみではあるが、俺が何よりも楽しみにしていたことがある。
ルーナがキッチンから氷魔法で冷やしていたある物を持ってきてくれた。
『おっ、それを待っていました』
『ふふ、それじゃあ乾杯しましょうか』
そう、何を楽しみにしていたかというとワインだ。
大人になったからワインがようやく飲めるようになるのさ!!
ルーナにグラスを渡されワインを注いでくれ、
自分の分も入れてお互いにグラスを軽く当てた。
『『かんぱーい!!』』
初めて飲むワインを口の中に入れて飲むと、
葡萄のほんわかした香りと酸味が効いているが、
アルコールの方が勝ってしまった。
『おー美味しい!!・・・けどアルコールつえーな』
『ふふっ、まだまだ子供って事かしら?』
『なにをー、こんなものすぐに慣れるさ』
グラスを一度置いて焼きたてのピザを取って口に運び、
もう一度ワインを飲んでみた。
うーん・・・アルコールが結構くるな。
俺はワインを一杯だけでやめ、食事に専念する事にした。
ルーナと会話をしながら楽しく食事をしていると、
時間はあっという間にすぎて最後のメインディッシュ、
苺のデコレーションケーキを二人で食べる事にした。
『おー!これもなかなか!』
『甘さも控えめで美味しいわね』
これは村まで買いに行った甲斐があったぜ。
ケーキを食べ終えて誕生日会をお開きすると、
少しだけ食べ物が余ってしまったので木のボックスに入れ、
氷の魔法を使って痛まないように冷やして保存しておいた。
『良し、これで明日も食べれるな』
『ありがとうね、ロアン』
『ああ、これくらいなら大したことないさ』
後は自分の部屋でゆっくりと寛ごうとすると、ルーナに呼び止められた。
『待って、ロアン』
振り向いたらルーナの顔が少しだけ赤く染まり、もじもじとしていた。
どうしたのかな?酔っ払って具合が悪いとか?
そう思っていたが、ルーナが小声で話して来た。
『その・・・えっと、ロアンに一つだけお願いがあるの・・・』
『なんだ?』
自分のお腹を両手で触り、恥ずかしそうにしていた。
『その・・・前にロアンに話した事があるでしょ?
私、幼い頃に両親を失ったって』
『あー・・・うん』
『それでね、家族に憧れているの』
話すたびにルーナの頬が染まっていき、俺にお願いをした。
『だからね。私、子供がほしいの』
『あー子供か、良いね・・・ってはあ!?子供!?』
聞き間違いかと思って驚いたが、
ルーナが『ロアンの子供がほしい』と確かに言っていた。
『だめ・・・かな?』
俺は迷わずにルーナの手を掴んだ。
『良いよ、それじゃあルーナの部屋に行こうか』
手を引っ張って部屋に向かうとすると、
ルーナが『え?え!?本当にするの!?ちょっ、ちょっと心の準備がー・・・』
めっちゃ恥ずかしがって動揺し、
うるさかったので口を封じる為に不意打ちだったが唇にキスをした。
『ーっ!!』
『ルーナ、大好きだよ』
・・・勢いでやってしまったが、ルーナに殴られないだろうか?
不安に思ったがルーナが笑顔で返してくれた。
『私も大好きよ、ロアン』
お互いの気持ちを伝え、俺はルーナを部屋に連れていき、
いつもよりも長い夜を過ごした。
◯
あれから13年後。今も俺は充実している日々を過ごしている。
『ルナリアー、パパを起こして頂戴』
『はーい!』
気持ちがいい日差し、小鳥のさえずり、
しかし心地よく寝ている俺を起こしてくる奴がいた。
『おっきなーい!!』
『どわっ!?』
大きな声で俺を起こして来たのは娘のルナリアだった。
『おはよーパパ!』
『おはよう、ルナリア』
『朝ごはんが出来たから早く来てよねー』
『ああ、わかった。先に行ってていいぞ、着替えたら直ぐに行く』
着替え終わってリビングに向かうと、ルーナが笑顔で挨拶をしてくれた。
『おはよう、ロアン!』
そう、俺はルーナと結婚し、娘と三人で楽しい生活を送っている。




