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寂しかった頃に

今からおよそ8年前、私が森の中を散歩している時でした。

いつも通りに動物を見つけては話しかけ、

エサをあげたり暇つぶしをしていました。


『そろそろ帰ろうかしら・・・』


帰ってもどうせ一人ですが・・・。

そんな時に人間の男の子が道端で倒れているのを見かけた。


『大変!だ、大丈夫!?』


私は急いで男の子の元に駆けつけ、

仰向けにして回復魔法を掛けようとしました。


しかし、意識がなくて肌を冷たかったのです。

そう、すでに死んでいました。


『そ、そんな・・・』


私がもう少し早く外に出掛けていたら・・・。

知らない人間でしたが、

まだ10歳くらいの子供でしたので泣きそうになりました。


どうして人間の子がこんな所にいるのか、

どうして死んでいるのかがわかりませんでした。


モンスターに襲われた痕跡もないし、血も流れていません。

私は不思議に思って上着を脱がしてみると、

理由が分かったのと同時に背筋が寒くなりました。


『え、何これ・・・』


胸部や腹部、背中まで傷だらけで、痛々しい痣や火傷の痕があったのです。

これは今付けられた傷ではないので思いました。


きっとこの子は虐待などを受けていたのでしょう。

それが耐えられなくなって町を出て森に迷い込み、

力尽きてしまったんだと思います。

そんなの可哀想すぎます・・・。


この時、私はある事を頭によぎりました。

そう、数十年前に読んだことがある魔術書に、

死んだ人を生き返させる方法があることを思い出しました。


しかし、禁断とされている魔法なので本来は使ってはいけませんが、

それでもこの子を生き返して育てようと決心しました。

何故そう思ったかというと、自分が数百年以上も孤独に生きて寂しかったからです。


実は幼い頃に両親が原因不明の病気で他界し、

それからずっと一人で暮らしていたのが寂しかったからこの子を拾って一緒に暮らしたくなり、抱きかかえて小屋まで運んでしまいました。


私はリビングにあるテーブルに死体を置いて禁断魔術書を読み返し、魔法を唱えました。


『死者よ・・・魔法を体内に入れ込み、生き返るが良い』


この魔法は魔力を体内に入れ込む事に寄って生命を復活させます。

しかし、その対象の代償は死んだ前の記憶がなくなること。

だから目が覚めると、男の子は辺りを見渡して不思議そうにしてました。


『ここはどこ・・・?お姉ちゃんはだれ・・・?僕は誰・・・?』


私は自分の父の名と母の名から取り、この子に名前を付けました。


『貴方の名前はロアン、そして私はルーナよ。貴方の母親みたいな者ね』

『僕の名前はロアン?お姉ちゃんが僕のママ?』

『うん、そんな感じね。ロアンは私と一緒に暮らすことになったの、これからよろしくね』


私はこの子に嘘を付いてしまいました、自分の寂しさを紛らわせる為に-。

今日の深夜に11章の3話を投稿します。

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